「先見の明」なき資産運用
2012/6/10 リスク&リターン さん
定年後の生活費の柱となるのは、年金と、それまで蓄えてきた預貯金の「二本柱」であろう。ちなみに我が家の預貯金は、退職金も含めると3000万円ほどである。このまま、極端なインフレなどが起こらなければ、年金とこの預貯金でそれなりに余生は過ごせそうだとも思えるのだが、今の日本の経済状態を考えると、「大幅なインフレなしでは成り立たない」ということはほぼ間違いないだろう。
国の借金を楽にするには、インフレを起こして、お金の価値を下げるのが一番効果的だからだ。たとえば物価が10倍になるほどのインフレが起こったとしたら、一万円の価値も今の千円に相当する程度になる。膨大な国の借金も、実質的に10分の1ほどの負債におさまる、ということだ。国として、インフレを望まない理由が無い。
だから私は、近い将来、インフレが起こる可能性はかなり高いと考えている。そこで問題になってくるのが、この虎の子の3000万円の資産運用のやり方だ。日本で大幅なインフレになったとしても価値があまり落ちない資産運用にはどんなものがあるか・・・それをいろいろと考えているところである。
思えば、金相場が2000円を切った頃に金を買った人たちは、間違いなく資産運用に対する「先見の明」があったのだろうと思う。今では金はプラチナを超えるほどの価格だ。金の延べ棒一本でも持っていれば、相当な金額になる。
これに対して、資産運用の失敗例は、バブル期に土地を購入した人たちであろう。私も、老後の資産運用において、土地買いなどをすることは全く考えていない。日本はこれから人口が減っていく時代に突入することもあり、土地価格が上昇する要素が見当たらないからだ。
こうなると、私たちの世代は資産運用の決め手を見つけるのが難しい、と実感する。金相場がこれまでになく高騰している今となっては、これから金を買うのもナンセンスだと思えるし、外貨購入を考えるにしても、外貨はどこも不安定要素を抱えている。恥ずかしながら、私は少し前までは、ユーロは磐石の通貨だと思っていたほど無知なのだから。
資産運用の考え方のひとつとして、「リスク分散のために資産運用方法を何通りかに分ける」というのもよく知られた手だが、そこまで多岐に渡る選択肢を選べるほどの資産はないし、リスクを分散するということは利益も分散させてしまうことに繋がる。それではインフレには対応出来ない。
そんなわけで、私のような「先見の明」なき者にとっての老後の資産運用は、どこから手をつけていいのか分からない状態である。「年金しか収入が無いだけに、万が一失敗したらその失敗を取り返すように稼ぐことはほぼ不可能」という状況が足かせとなってしまい、思い切った決断がなかなか出来ない状態で、時間だけが過ぎていく。
それでもいずれ来るであろうインフレに備えて、いちかばちか、たとえ1000万円だけでもハイリスク覚悟で投資するか・・・今、妻と真剣に検討中である。
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