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世相を斬る!(34)あきれた“原子力ムラ”の感覚

2012/6/8  臥龍 さん

オピニオン|世相を斬る
先ごろ新聞報道で、独立行政法人日本原子力研究開発機構のホームページの記述が、世間の感覚から見ておかしいという批判を浴び、急きょ削除されたことが伝えられました。
日本原子力研究開発機構といえば、原子力に関する専門家集団であり、日本における原子力開発をリードしてきた機関です。

新聞によると、削除された記述というのは、放射能、放射線、放射性物質の違いを、分かりやすく言い換えた部分です。
その内容は「奥さんの怒鳴り声が『放射線』、怒鳴り声を上げてしまうような奥さんの興奮している状態が『放射能』、怒って興奮している奥さんそのものが『放射性物質』」というものです。

いくら分かりやすい解説、といっても、これでは、世の中の奥様方のほうが怒鳴ってしまうに違いありません。
もう少し常識的な解説の方法がいくらでもあるはずです。
教科書などで使われるのは、電球と光線に例えて、放射能と放射線の関係を説明する言い換えなどです。

また、同じ日本原子力研究開発機構のホームページでは、こんな文章も批判を浴び、削除されたようです。
「社会調査によると、女性は男性に比べて、原子力の技術的な情報に対する理解度や満足度が低いことが分かっています」。
この記述も断定的であり、差別意識を露骨に表わしているようです。

これらの記述について、日本原子力研究開発機構では「地域の女性らとともに始めた活動の中で考えた表現」であり、女性の理解度に関する記事は「首都圏の住民を対象に行った理解度調査に基づくもの」としています。

問題は、そうした調査方法などではなく、記事そのものが、世間の感覚から見て、おかしいと感じないのか、という点です。
しかも、ホームページでそれを公開すると言う感覚は、一般の常識から相当ずれているといわざるを得ません。

少し飛躍するかもしれませんが、現在、原子力が、国民から厳しい批判を浴びているのも、原子力関係者が、一種のムラ社会を作り、国民から乖離したところで、原子力の開発、推進を行ってきたことと無関係ではないように感じます。
“原子力ムラの常識”は世間の非常識であることを認識しなければなりません。
それと同時に、それを許してきた政治、行政機構にも大きな責任があります。
原子力の見直しを迫られている現在、“原子力ムラ”そのものにも改革が求められます。

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