運転免許証との別れ
2012/6/24 バイバイグッドバイサラバイ さん
4月に、大学時代からの友人が、車を運転していて自損事故で怪我をした。スーパーのガレージの柱にほぼ正面からぶつかってしまったのだそうだ。「運転中に眩暈がしたからまずい、と思って何とかしようとしたが、その時にハンドル操作を誤ってしまった」のだそうだ。そして「他人を怪我させることがなかったのは不幸中の幸いだったが、もう車の運転はやめようと思う」と言った。その友人は元々タクシー運転手である。何十年も他人を安全に運び続けてきた彼だからこそ運転技術には人一倍自信があったはずだ。その友人が運転をやめることを決意した、これは私にとっても大きな衝撃だった。
なぜなら、実は私も、友人が事故を起こしてしまう前から運転免許証の自主返納を検討し始めていたからだ。
私が運転免許証の自主返納を考え始めた理由は、「年をとるごとに運転でヒヤッとすることが多くなった」というのが一番大きい。今のところゴールド免許を維持しているが、それもかつてのように「ゴールドで当然」というような安全走行ではなく、ほとんど綱渡りのような状態で何とか事故を起こさずに済んでいるだけだ。ブレーキなどのタイミングが遅くなっているのか、あと一歩で追突事故、という状態になったことが何度かある。
さらにここ1、2年では、助手席の妻に「今、左から自転車が来てるのが見えてる?」など、言われて初めて気付くことが多くなった。運転に対する集中力も、なくなってきているような気がしていた。
理想としては、運転技術の衰えや集中力の低下に気付いた段階ですぐに自主返納をするべきだというのは分かっていた。が、ずっと車のある生活に慣れ、さらに定年退職後の第二の人生は、車を使って妻とあちこちに出かけて楽しみたい、と考えていただけに、退職してまだ何年も経っていない今の段階で「もう車の運転ができなくなる」という状態になることは、心のどこかで受け入れがたいものがあったのだ。
しかし、友人の事故の件をきっかけに、これは本当に私も、覚悟を決めて運転免許証の自主返納をするべきではないか、と考えるようになった。
そして今はとりあえず「なるべく車に頼らない生活」を実践している。車がある生活に慣れすぎた私にとって、いきなり車のない生活になるのはストレスが大きい。だから返納をする前に日々の生活の中で車の出番を減らしていき、車のない生活への移行をなるべく潤滑にさせたいと考えたのだ。
そして、約2ヵ月後にやってくる私の誕生日を、運転免許証の自主返納日にしようと決めた。こうして期限を区切っておかないと、いつまでもだらだらと返納を先延ばしにしてしまいそうな気がするからだ。
運転免許証との「別れの日」を決めてからは、毎日のように運転免許証を見ている。小さなカードだが、今までいろいろ役に立ってくれた。今はまだまだ名残惜しい気持ちが残っているのが正直なところだが、徐々に気持ちに整理をつけて、別れの日にはすっぱりと手放せるようにしたいものだ。
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