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世相を斬る!(49)ニートの増加を憂う

2012/9/21  臥龍 さん

オピニオン|世相を斬る
ニートという言葉が広まったのは、最近のことではないでしょうか。
就職も進学もしない若者の意味で、英語の「Not in Education,Employment or Training」の頭文字をとった言葉です。

厳しい雇用環境が背景にあることは間違いありませんが、大学新卒者にもニートが増えています。
ニートの増加は、日本の産業・経済を支える労働力の量と質の両面からの低下を招き、生活保護受給者の増大に拍車をかけることになりかねません。
憂うべき事態です。

文部科学省は、このほど行った学校基本調査で、初めて大学新卒者の詳しい実態を調べました。
それによると、今春の大学卒業者は約56万人で、そのうち就職した人は35万7000人。就職率は64%にとどまりました。
残りは、契約・派遣社員、アルバイトのほか、大学院などに進学した人もいますが、新卒者の約16%に相当する約8万7000人が進学も就職もしていないことが分かりました。

調査では、約8万7000人をさらに調べたところ、就職や進学に向け、何らかの準備をしている人は約5万3000人、残り約3万4000人は、どちらの活動もしていない、いわゆるニートと呼ばれる人たち、ということが分かりました。

ニートは全国に約60万人いるといわれ、その多くは、高卒者や学校中退者とみられていました。
しかし、今回の調査では、大学の新卒者でも3万人以上のニートがいることが明らかになったわけです。

就職の門戸は年々厳しくなっており、高卒、大卒とも、仕事に就けない人が増えています。
それでも、再チャレンジをめざして、進学、就職活動を始めている人は少なくありません。
しかし、ニートは、そうした活動をせず、したがって収入もなく、多くは親と同居している若者のようです。
結婚や子育てが困難で、いずれ生活保護受給者になるとみられます。

ニートの増大に歯止めをかけ、若者を就職、進学に向かわせるため、企業、自治体などが一体となった研修制度など、ニートの後押し制度を整備する必要があるように思われます。

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