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この目で見たかった伝説の投手

2012/10/25  飛雄馬 さん

定年後の生活|野球
私の趣味のひとつは野球観戦である。
今年も何度か球場に足を運び、楽しく応援させてもらった。
そして今年も野球シーズンが終わろうとしている中、なぜかふと頭に浮かんだ野球選手がいた。

それは、「沢村賞」の由来ともなっている伝説の投手・沢村栄治である。

「沢村栄治はすごかった」という話は私も祖父や父から聞いたことがあるし、それこそ「弾丸よりも速い球を投げた」など、どう考えてもありえない伝説まで残っている投手だが、なにしろ戦前の投手であるため、当然のことながら私は沢村栄治がどんな選手だったのか、この目で確かめたことはない。

しかし、この名前がふと頭に浮かんでしまってからは、今さらながら「本当はどれほどの選手だったのか」というのを知りたくなって、パソコンを使って沢村栄治の名前を検索してみた。

すると面白いことに、今の若い人たちが、沢村栄治の球速について、本当は何キロだったのか議論しているものを見つけたのだ。意外だったのは、今の若い人たちの中にも、「沢村栄治の球は本当に速い」と信じている人が結構居たことだ。もちろん、「いくら速いと言っても昔の話だから、130キロ台だろう」という人も居たが、「150キロ以上は出ていただろう」「160キロ出ていたかもしれない」など、速さだけでいえば沢村栄治は今の速球派投手に匹敵するかそれ以上、という見方をする人も多かったのだ。

自分自身、直接見たわけでもない投手なのに、沢村栄治が、若い人から今もこれほどの存在として見られていることが嬉しくなった。さらに沢村栄治についての情報を見ていくと、過去に日本のテレビ番組が、沢村のキャッチボール映像を元にして球速を推測したところ159.4キロという結果が出たらしいのだ。そして別のテレビ番組の企画でも、実際に沢村栄治の投球を見たことがある選手をバッティングセンターに立たせたところ、「沢村栄治の球と同じくらいの速さ」と認めたのが、球速160キロであったらしい。

また、沢村栄治はアメリカ遠征の経験もあり、そこでかなりの試合数をこなし、さらには現地で大リーグにスカウトまでされるほどの存在になっていたそうだ。もし沢村栄治がせいぜい130キロ台程度の球速しか出せない投手だったとしたら、そんなスカウトをされることもなかっただろう。

私は最初、戦前と戦後では野球のレベルが格段に違うであろうから、速いと言ってもやはり140キロ台くらいまでではないかと思っていたのだが、こういう夢のある考察を見たり大リーグからスカウトを受けたことを知ったりしたことで、私も「さすがに160キロはなかったとしても、150キロ台は出していてもおかしくない」と思えるようになったのだ。

いつかアメリカでの試合の映像がひょこっと出てきたりしないだろうか。沢村栄治が本気で投げている姿を、何らかの形で見てみたいものである。そうなれば「伝説の投手」の本当の球速も分かってくるだろうが、その真実はきっと私の期待を裏切らないものになるであろう、と信じている。

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