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婚外子の相続権

2013/9/19  正子 さん

シニア|家族制度
先ごろ、婚外子の遺産相続における法の下の平等を訴える裁判(最高裁)がおこなわれ、現在の法制度は違憲との判断が下されました。
なるほど、未婚の母や事実婚など最近の結婚のありかたが多岐にわたる今の時代いたっては、かつての法制度がそぐわなくなった、ということなのでしょう。

婚外子の多くは、いわゆる「二号さんの子」(古っ!)「愛人の子」といわれる人たちです。確かに彼ら自身に非はありません。
遺産相続ともなれば、実子らですら骨肉の争いをすることが多々あるというのに、それに婚外子までからんでくるとそれはもうドロドロを通りこしてぐちゃぐちゃになりかねません。
ベストは、資産を残すご本人がきっちり「遺言」すればいいのですがね。だって、そうでしょう。自分のまいたタネなんですから。

今回の判決は「前進」と歓迎されるいっぽう、心穏やかではない人たちもいることは確かです。
自分の家庭を壊した相手とその子どもなど、「本妻」にしてみれば憎くないわけがありません。
本妻とその子どもらが被った精神的苦痛を考えれば、相手の経済的な不利益を当然と考えるのは心情的に理解できます。親の「不徳」のなせる業が子にまで及ぶのはやむをえない、
そのくらいの「覚悟」があっての不倫でしょと、言いたくもなるでしょう。

そういった意味で、今までの制度(婚外子の相続上の不利益)は、一定の抑止力を期待されていたともいえます。
つまり、婚外で生まれる子どもは不遇だから、結婚・出産は「正規の手続き」にのっとってなされるべき、というルール遵守ための一翼です。

私が高校生の頃、同じクラスの友だちの家に行く道ぞいに、すごく立派な大きな家と、そのすぐ隣に薬局を兼ねた小さな住宅がありました。
ある日友だちはここを通るとき急に小声になって、訳知り顔で言いました。
「このおっきなウチってさあ、どこかの社長の二号さんのウチ。で、こっちの薬局なんてさあ、ここに家族5人が住んでるだよぉ。なんだかなって感じだよね」

その友だちはきっと、まっとうな暮らしをささやかに営んでいる「ごく一般の家庭」に対して、愛人のくせにこんな豪華な家に左団扇で住んでいるなんて理不尽だよね、と言いたかったのだと思います。
私も事情はまったく知らないのに、そうだよね、と無責任にうなずきました。

法の下の平等、はいわゆる「きれいごと」です。
違憲が認められたからといって、実際に解決されることは少ないでしょう。世の中は義理人情で成り立っている部分が多いので。

相続の権利が実子と同等になっても、そう簡単に婚外子が後ろ指をさされるいわれなき差別から免れることはないと思うのです。
少なくとも、やはり結婚しているあいだは外に愛人や子どもを作らない、という道徳上の責務を果たさなくてはいけないと私は思います。

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