スタートラインに再び
2011/8/23 鈴木キエ さん年を取ると欲が無くなるのか、今の私には人間の三大欲の一つである睡眠欲くらいしかなく、食欲も性欲も何処か遠くへ行ってしまいました。
特に何かをしてみよう!と云う「意欲」に関しては皆無の状態です。
理由は面倒臭い、お金が掛かる、新しい人との関わりが煩わしい、など色々あるのですが、一番の理由は「もう、今更何かを始めたところで何になるの?」と思う心でしょうね。
何かスポーツを始めたところでオリンピック選手になれる訳でもなし、資格を取ったところで仕事をする気も無し、何かを始める意味を感じられないのです。
華道教室に誘われても、絵画教室に誘われても何の興味も湧きませんし、第一出掛ける事すら億劫なので「ひきこもり婆ちゃん」と呼ばれるようになってしまいました。いつから、こんな風になってしまったのか?と考えてみるのですが、そう云えば昔からこんな人間だったようにも思えます。
アレをやれ!と言われたらアレをやる、コレをやれ!と言われたらコレをやる、自主性や自我と云う物が無いのでしょうね。
子供の頃から望んだ物が手に入らず、右に倣への人生でしたから、言われた事は出来ても自分から何かをする事がなかったのです。
主人に「お茶を煎れてくれ」「歯磨き粉がない」「散歩に行くぞ」と言われて、ようやく動き出す私。
そんな小さな出来事の数々、其れこそが私の生きている証のような物なのです。
周りの皆が心配してあれこれ言うのですが、私は、このような生き方に何の不満もありませんでしたし、疑問や不安を抱く事もありませんでした。
10歳下の妹が亡くなってしまうまでは。
妹は、成人はしていますが結婚前の息子三人を残して癌で亡くなりました。最後に私に会いに来てくれた時は歩く事がやっとの状態でした。
私が行くと言っていたのですが、無理を押して故郷であるこの土地に十数年振りの帰省を果たしました。「私、この町に何もしなかったなぁ。もっと故郷を大切にすれば良かった。みんなの傍に居れば良かった。」
妹はそう言って帰って行きましたが、それから間もなくして亡くなりました。
死の間際に妹が思った事が親兄弟や故郷の事だったとは。
この町を若くして飛び出し、自由奔放に生きてきた妹でしたので意外でした。
死に際に、私なら何を思うのだろう、思い残す事はあるのだろうか?ふとそんな思いが私の脳裏を掠めました。
病魔に侵され、故郷に思いを残したまま亡くなっていった妹と、生かされて尚、何もしようとはしない私。
そう考えると自分が愚かさが咋になり、考えれば考える程妹の死が私に何かを暗示しているように思えてならないのです。私は結婚する前は小学校で教員をしていました。
ほんの僅かな間でしたが子供達と学んだ日々が私の大切な宝物です。
もしも私に思いを残す事があるとしたら、それは早くに退職をした事なのではないかと思います。結婚の為志半ばで辞めた訳ですから。
あの頃の子供達は、恵まれた環境にいる子の方が珍しい時代でしたので、私と同じ様に多くを望まず生きていた様に記憶しています。
私は、そんな子供達に「やれば何でもできるのよ、頑張れば王選手の様にも成れるかもしれない、でも!スタートラインに立たなければ何も始まりはしないわ。」そう何度も繰り返し言っていたものです。
この言葉を、今、自分自身に言い聞かせもう一度スタートラインに立とうと思います。
子供達に言っていた通り、やればできるものですね。
その証拠に、私、今秋から学童保育士として子供達と過ごす事になったのです。シニア向け特集記事
<お金や暮らしに関する特集>
老後の計画
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(3)田舎暮らし (4)海外暮らし (5)野菜づくり (6)写真展<働くことや仕事に関する特集>
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64歳男性、看護 / 63歳女性、保育補助 / 58歳女性、クリーニング&パン定年後
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会社に残れたものの / 早期退職か居座りか / 失業しています定年後も働こう|定年後の独立開業 / シニア夫婦が自宅でしている仕事
シニアの群像
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