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危険な川下り

2011/9/2  順子 さん

定年後の生活|川下り先月、静岡県浜松市で起きた「天竜川川下り船転覆事故」が、様々な波紋を投げかけています。

船頭2名乗客21名を乗せた川下りの船が転覆し、約10名が流されました。亡くなったのは、80歳のおじいちゃんと74歳のおばあちゃんのご夫婦、2歳の男の子、ほかに60代の女性と船頭さんも死亡しています。

高齢者と小さな子供が乗っていることからも、事故が起こることなど誰も予測していなかったのだと思われます。名所を巡るのんびりとした川下りなので乗客に高齢者が多いという特徴があります。

天竜川は、長野県の諏訪湖を源流として、愛知県、静岡県を流れ、太平洋へと注いでいます。
過去に洪水や土砂災害が頻発したことから「暴れ天竜」と呼ばれていたそうで、流れが急なところがあります。

船を運営する天竜浜名湖鉄道は、転覆した際の救助手順などを定めたマニュアルを用意しておらず、転覆事故を想定した訓練を行っていなかったということで、名倉健三社長は記者会見で「認識が甘かった」と謝罪しています。

遺体で見つかった船頭さん(66歳)の操船歴は2ヶ月余りで、亡くなっているのでなんとも言えませんが、船頭さんもかなりお年を召していらっしゃいますから、操作ミスの可能性もあるかもしれません。

この川下りは、天竜川上流の長野県飯田市でも行われており、2003年の5月に川下り船の転覆事故が起きたときには、天竜浜名湖鉄道は大人を含めた全乗客に対し、救命胴衣の着用義務づけを検討していましたが、乗客に負担がかかると判断して見送ったと言います。

この事故を受けて、国交省は「乗客への救命胴衣の着用義務づけも含めて検討する」と述べています。

こういう事故が起きると、必ず出てくるのが規制強化論ですが、賛否両論あります。

賛成意見は、「救命胴衣を乗客に着用させるのが、運行会社としての責任」というもので、反対意見は、「川下り程度の遊びにそこまでの装備をすると、風情が無くなる」などというものですが、私がこの川下り船転覆事故で感じたのは、自然の怖さです。天竜川を甘く見ているから、このような事故が起こるのではないでしょうか?

近年、降る雨の量が異常です。竜巻も起こっています。東日本大震災では「まさかそこまでの高さの津波は来ないだろう」と高をくくって、大勢の人が津波に流されました。

このような事故を起こすと会社の信用は失われ、川下りという遊びが減少します。年に一度は転覆事故を想定した訓練を行い、マニュアルを用意して、乗客に救命胴衣を着せておく、そこまでしないと「あれは事故だったんだ」ではすまされないということだと思います。

ただ、救命胴衣さえ着ていれば助かるというのはどうかなぁ……と思ってしまいます。高齢者の多い20人以上乗っている船が転覆すれば、船頭2人で救出は無理と普通は考えないでしょうか?しかも、船頭さんも高齢化しています。

川下りでスリルを楽しむというのも“安全”があってこそ、スリルは演出でなければならず、安全なコースを厳選して運行しなければいけないでしょう。天竜川川下り船転覆事故は、天竜浜名湖鉄道に危機管理の意識が足りないために起こった事故だと思います。

救命胴衣着用を含めた、もっと根本的な部分からの安全対策をお願いしたいと思います。

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