世相を斬る! (2)ギリシャ危機は“他山の石”
2011/10/21 虎穴 さん財政危機に端を発したギリシャの金融危機は、スペイン、ポルトガルなど、欧州各国に飛び火して、欧州通貨不安を招いています。米国でも世界金融の象徴であるウォール街にデモが押し寄せています。
ギリシャ金融危機には、さまざまな要因が考えられます。農業国家のため、技術革新による産業の成長が遅れた、長年続いた放漫財政のため、赤字国債の発行が増えたなどなど。しかし、その根本原因は、公務員の数の多さとその生産性の低さにあると、筆者は見ています。
ILO(国際労働機関)のデータ(2008年)によると、人口千人当りの公務員数は、ギリシャは34人と、サウジアラビアなどの特殊な国(石油が唯一の産業)を除けば、世界トップクラスの公務員割合です。欧州諸国の公務員割合は概して30人~40人と高いようです。スペイン、ポルトガル、さらには、イタリアなどで金融危機が表面化しているのも、この辺に大きな要因が潜んでいるのではないかと考えています。ちなみに米国は22人、日本は17人と、比較的低い水準です。ギリシャの場合、アルバイトなど不定期雇用の労働者も多く、それを含めると、公務員の全労働者に占める割合は、何と2割に達します。しかも、欧州中央銀行の調査では、欧州各国の中で、ギリシャの公務員の労働生産性が一番低いと指摘されています。
公務員の数が多いということは、生産活動に従事する、いわゆる民間部門の労働者の相対的な少なさを意味します。逆に言えば、何ら生産に携わらない、付加価値を創造しない役人が多すぎるということです。日本の公務員割合が少ないのは、これまでの行政改革によって、定員が削減されてきたためです。しかし、これは表向きのことで、いわゆる“隠れ公務員”の数は非常に多いのです。独立行政法人や財団法人、社団法人など、各省庁の外郭団体に天下っている役人の数は、正確に把握されていないほどです。日本の公務員は、外郭団体などに天下った場合、原則として給与は現役時代を下回らないとされています。外郭団体を転々として、その都度、退職金をもらう、いわゆる“渡り”が多いことも問題になっています。
ギリシャでは、今年末までに76万人の公務員のうち約3万人を解雇することが決まりましたが、その対象はすべて定年間近のシニアです。日本でも、企業のリストラの対象になるのは常にシニア世代です。
ギリシャの危機を“他山に石”とし、徹底した行政改革と、民間部門の、とくにシニア世代の雇用拡大が求められます。世相を斬る!
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