老後はどこに住む?
2011/10/30 美土里 さん実行できるかどうかは別にして、ひと昔まえは定年になり退職したら、手ごろな田舎に引越し、晴耕雨読、趣味人として生きるというのが老後の夢、という人も少なくありませんでした。
これは高度経済成長期を支えたモーレツサラリーマンが、定年後の人生は時間に追われることなくゆったりと過ごしたい、ごみごみした都会生活に別れを告げ、みどり豊かな環境の中で暮らしたい、あるいは生まれ故郷に帰りたい、という希望があったからでしょう。
このような「定年後の田舎暮らし」には「一戸建て」が理想でした。
ところが、昨今では定年を機にわざわざ住みなれた戸建て住宅を売り、賃貸に住み替える人たちもいます。
そんな、せっかくローンも終わったばかりなのにもったいない、という考え方とは別に、住み替えをするシニアのほとんどは、その理由を「維持」にあげています。年金暮らしになったら税金(固定資産税など)をできるだけ少なくしたい、庭や畑の草むしりや手入れをいつまで続けることができか心配、など。
解決方法として子ども世代との「同居」が最善ですが、現実には「気兼ね」や「子ども世代に金銭的に頼られてかえって生活が苦しくなる」など一つ屋根の下生活の現実は厳しく、みんなで和気あいあいと暮らすのはなかなか難しいようです。そして「維持」の困難さは、家族形態の変化によってすべからく当然のなりゆきとしてやってきます。
夫婦と子どもふたりの4人家族を基準に作られた、かつての家。
ふたりの子どもはとうに巣立って一緒に住む予定はなく、夫婦ふたりで住むにはいささか大きなこの家。
シニア世代には膝の痛みがつらく、二階などにはめったに上らないので、上半分が空き家状態。もし片割れが先にいってしまったら、ひとり暮らしには完全に大きすぎる家になってしまいます。
年に数回遊びに来る子どもや孫のために維持するには、手に余る空間と経費がのしかかってきます。もしかして、ゆくゆく子どもが定年後に帰ってくるかもしれないけれど、そんなのまだ二十年ちかくも先。その間にも時間は流れますから、家屋の老朽化も避けられません。
その前に自分がどうかなってしまえば、あとは野となれ山となれ・・・だけど。
先祖伝来の土地であれば、自分の代で勝手なことをしては申し訳がたちませんが、結局のところ、自分一代で建てた家なら、自分で始末をつけたい。
子孫に美田を残さず、いっそ後顧の憂いなし!それが決定打になるのは、最終的に老後の「足」です。
車がないと買い物に行けない、というような場所はそれほど山奥でなくとも全国いたるところにあります。
街中のアパートであれば、車がなくても歩いて近くの店に行くことができます。
あるいは少なくとも公共交通機関やタクシーが比較的手軽に使える場所、というのが老後の優良住居宅条件です。
広々とした田舎で空気の良いところ、ではないのです。もちろん、住み慣れた家にずっと暮らし、それまでと同じ生活を続けたい、という人たちもいます。
アメリカでは、昇進するごとに奥さんと家を替え、登りつめた定年後はフロリダに移住するというのがかつてのドリームコースでした。
今では、そんなことをいうと一笑にふされるそうです。
「若者世代の職がなくてデモで暴れているのに、年寄りがそんなのんきなこと言ってられるのかい?」お国も事情も違う日本でも、シニア世代の「住宅事情」に変化が起こっているのはまちがいありません。
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