心に贅沢な食を楽しむ
2011/11/5 道子 さん子供たちがそれぞれ独立を果たし、我が家もようやく夫婦二人の少し落ち着いた生活に慣れてきました。
夫婦二人になってしまった直後は、ほっと肩の荷が降りた反面、何だか気が抜けたような、手持ち無沙汰な日々を感じていました。子供たちがいた現役の頃の私の生活と言えば、日常の家事に加えてパートの仕事、それぞれに生活リズムの違う家族たちに合わせての毎日で、自分がやりたいことなんて到底時間を取ることが出来ず、早く子供たちが独立して、のんびりと読書をしたり、友人とのお茶を楽しんだり、趣味に興じる時間も欲しいものだと切望していたものですが・・・。
いざ現実になってみると、これまでが多忙を言い訳に何一つ自分のやりたいことをやってこれなかった、と被害妄想もどき抱えていたせいか、やりたいと思っていたことすら手掛けようとしない自分の腰の重さに今更ながらに気がつきました。「家族のために」と言い訳しながら、なかなか行動できずにいる自分を正当化しようとしていたのですね。
しかしそんな言い訳ができないほど時間的な余裕を持てるようになってからは、「やろうと思えばできたのに、何にしてもやる気がなかっただけ」ということに否応ながら気づかされ、果たしてこれからの長い長い夫婦二人きりの老後生活、夫が定年したとなったら尚更一体何をする!? と段々に焦燥感を抱くようにもなり、差し当たり、まだ現役で頑張ってくれている夫に目を向けてみることにしました。食卓を見直してみよう、と思い立ったのは、若い頃には脂っ気の多い食事を好んでいた夫が、歳を重ねるにつれ段々と和食へと好みが変化してきていたのが理由です。若い頃には、食べ盛りの子どもたち、働き盛りの夫のために、我が家の食事はボリューム重視のカロリー満点。その食卓は見た目にはお世辞にも「オシャレな食卓」とは程遠いものでした。
よく雑誌などで見かける、ちょっとずつ色んなお料理を懐石風に盛り付けて・・・というのに憧れていたので、折角の夫婦二人の食卓、これまでとは趣向を変えて、見た目にキレイでちょっと贅沢な食卓に・・・と、いろんなお料理雑誌を参考にしてみることにしました。夫婦二人分となると支度をする時間にも余裕があるし、買い物もゆっくりとできます。夫も定年前の歳ですからボリュームのあるお料理は必要ありません。ちょっといい食材を二人分・・・食費は減っても内容が充実しそうだ! との直感を皮切りに、今ではテーブルの演出にまで精を出してみると、これまで食べたらすぐに席を立っていた夫も、じっくりと一味一味噛みしめながら箸を休め休め、晩酌を楽しむようになり、食材の話題が専らですが会話も増えるようになってきました。
ちょっとの手間を加えるだけで、こんなにも心満たされるとは・・・お金をかけて贅沢なものを戴くのではなく、時間をかけて心にも贅沢な食卓の時間を、夫婦二人で楽しんでいこうと思っています。
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