10年の回想

2011/12/3  治雄 さん

定年後の生活|10年日記ずいぶん以前に通信販売で見つけた「10年日記」。既に二冊目に入って年数も経った。
まだ孫も産まれる前で、子供たち、妻の分も購入して正月のプレゼントとして皆に渡したのだが、継続しているのは私だけのようである。

この10年日記、装丁もとても丈夫で紙質も良いようだ。ページを開くと、その年の抱負を書くページが10年分で10ページ、経済動向などを記入する欄もあるのだがそこはいつの年も空白のまま。1ページに1月1日が10年分、次項1月2日が10年分…、と365日分365ページには、その日にあった出来事やその時の気持ち、また、その日の予定などを記入できるくらいのスペースがある。

私の場合、たいていはその日の終わりにその日の出来事をちょっとメモしてきた程度だが、そのすぐ上には去年、その前の年のその日の記録が記されているので、「おっ、1年前にはこんなことがあったんだな~」と、日々書くこと以外の発見をしてからは、年数が経つにつれ、記録を記しておくことが楽しくなり、長年の継続に至っている。

特に、娘が結婚し、孫が誕生してからの今までの欄はとても充実している気がする。娘は遠方で生活しているが、盆・正月の連休には家族揃って帰省をする。帰省する日が決まった日から帰省した日までの数日間、何ともワクワクしながら待っている私の様子が、メモ程度であっても鮮明に蘇ってくる。毎年同じ時期に行われる家族のイベントや恒例になったイベント。孫とのお出掛けや触れ合い。気持ちを記さずとも、記録さえあればその時の感情が手にとるように分かるのだから不思議なものだ。
他人が見ればただの記録。もし私が死んで、残された日記を誰かが目にしても、私の細部の感情までは読み取ることはできないであろうから、何となく安心である。

日記、と構えると感想文のようにその時の気持ちを記そうとするから、先が短いシニアとなると、自分がいなくなってからのことが頭によぎり、何だか気恥ずかしく思っているのが妻なのであろう。「何でもいいから記録しておけば?」とアドバイスしても、何日か記しただけでまた筆が止まってしまうようだ。記している年数が浅いうちは、前年やそれ以前の年の記録がないので楽しみが浅いのだから根気よく続けることが大切なのだが・・・。

さて、1日2~3分の作業を継続し、年数を重ねることができた私の記録は、最近では「誰それが入院した」「誰それが死んだ」といった健康に関する事項が多くなってきた気がする。記録を重ねているだけに、日々書く度に前の記録を読み返すことが楽しみとなっているのであるが、これでは数年後、今の記録を読み返した時に何だか暗い気持ちになりそうだということに気がついて、これではいけない、これからは定年も控え、記録と向き合う時間も多くなりそうなので、なるべくその日の明るい話題を取り上げて、後の楽しみを残しておくこととしよう。

いずれシニアを通り越し、シルバーとなった折には、楽しい日々がいっぱいだったと満足し、切りのよい時期に、自分史を作ってみるのも面白いかもしれない。自己満足であるが・・・。

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