いよいよ新たな年がスタートを切った。昨年のことを言うと鬼が笑うというが、昨年は本当に鬼が居ついたような足取り重い一年であった。

団塊世代の私は定年も間近であるが、ここ二年ほどは身体的・精神的な限界を感じざるを得ない年が続いている。定年までが長く長く感じられるのだが、あと少し、もう一踏ん張り！　と気合だけで乗り切ってきたような気がする。度々医者の世話にもなったし、世話になる度に「年齢的なものですよ」の一言で済まされることも少なくなかった。何を言う！　まだまだ若い連中には負けてはいない！　と一発奮起するのだが、やはり身体がついていかないことを感じながらの、残り少ない現役生活である。

そんな私が、歳を感じながらも気を立て直すことができているのは、遠くに住む孫たちの存在である。まだまだ幼い。そして可愛い。生意気な口もきくようになったが、年に二回の帰省を心待ちにしながら、その時間を楽しみにしながら仕事を乗り切ることができているのは事実である。さて、そんな孫たち、四年ほど前に一番上の孫が電話口で「今日、幼稚園で餅つきしたよ。楽しかった！　お正月に帰ったらみんなでやろうよ！」と言い出したのが始まりで、その時から我が家の正月の恒例行事となったのである。

普通、餅つきとは年内にやるものらしい。しかし我が家流では元日の遅めの午前中にやるのが習慣となった。大晦日の晩から餅米をつけておき、元旦には家族が全員揃っておせち料理を戴く。無類の酒好き一族である私たちは元旦から宴会である。美味い日本酒はあれよあれよと空になり、眠気が襲ってくる前に「さて始めよう！」。

助っ人に駆けつけてくれる（呼びつける!?）私の兄家族も加わり、餅米を蒸し、でかい石臼に四本の杵が掛け声とともに順繰りと餅を打つのだ。内二本の杵は子供用である。孫たちは遊びの延長。こちらは冷える前に突きあげねばと、気合とともに腰を入れる。正面に構える息子には負けられない！　今頃の若い男は、力仕事なんぞしたこともなかろう、しかもコイツは30半ばというのに中年太り。腰が回るはずもなく、早くも息が上がっている。
「じいちゃんの勝ち～！」。声高々に判定を下す孫たち。うん！　まだまだ負けんぞ！　心の中で叫びながら、次の者へと杵を渡す。さすがに肩で息する私であるが･･･。

息子も所帯を持った。いろんな意味でそろそろ世代交代を、と思うのだが、まだまだ私の現役は譲れない。餅つきの勝負、私に勝つことができるまでは、この席を譲るものかと、孫に力こぶを見せつける。「じいちゃん、細マッチョ～～！」。腕にぶら下がる孫たちも年々重たくなる。孫の成長、そして私の加齢･･･。いやいや！こんなパワフルな新年のスタート、どこぞのシニアも切ってはいなかろう！今年も無事、一年最初の恒例行事、パワフルな幕開けに感謝!!

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