世相を斬る!(10)低すぎる富裕層の税負担
2011/12/23 虎穴 さん
政府の税制調査会は、所得税の最高税率を、現在の40%から45%に引き上げる方針を打ち出しました。年内をメドにまとめる社会保障と税の一体改革に盛り込む考えです。野田首相としては、消費税増税に対する批判を、高所得者への税率引き上げでかわそうというねらいのようです。消費税の増税は、たしかに、低所得者の負担感が強まる逆進性があるのは確かです。所得に対する消費の割合は、低所得者ほど大きく、高所得者といわれる富裕層は、貯蓄や金融資産の割合が高く、逆に消費の割合は小さいのです。したがって消費税増税による負担感も少ないといえます。
しかし、低所得者の消費税増税の負担感を和らげるためには、食料品など基礎的商品の減免税など、別途対策を講ずればよいのです。所得税の最高税率引き上げで、税の公平を維持するのはお門違いといえます。
富裕層に対する所得税については、かねてから減税が繰り返されてきました。1980年代前半までは税の税率区分が19段階に分かれ、所得が8000万円を超えると最高税率は75%となっていました。しかし、その後、最高税率は40%にまで引き下げられました。また、株式の売却益や配当などにかかる所得税や住民税の税率は、本来の20%から10%に引き下げられています。これらは、証券優遇税制といわれていますが、事実上、富裕層優遇になっています。そのため、富裕層優遇税制を見直すべきだとの意見が強まっています。
英国のエコノミスト誌によると、世界で一番富裕層が多いのは米国で3.1百万人。第2位が日本で1.7百万人程度となっています。3位はドイツの90万人程度、4位中国の50万人強と続きます。人口1千人当たりの富裕層の数でも、日本は13.6人とスイスについで2番目に高いのです。一方で、生活保護世帯も増加しています。
日本で最近、所得格差が顕著になっているといわれますが、こうしたデータによっても裏付けられます。これまでの所得税率の引き下げで、富裕層の税負担がかなり減ってきたことを見逃せません。消費税増税との抱き合わせなどという姑息な手段でなく、富裕層へ抜本的な税負担の引き上げを考えるべき時期に来ていると思うのは、低所得にあえぐシニアの愚痴でしょうか。
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