フェイク
2012/1/17 良いものを長く さん最近自宅をリフォームしました。
エコ・省エネ対策のため、内窓をつけ、断熱改装をしたついでに立てつけが悪くなってきていた玄関のドアも交換しました。
部分的に新しくなった我が家はすきま風も入らなくなり、とても快適。新しい玄関ドアは高気密で最新のロックシステムを搭載し、一見すると木製のドアのようです。いえ、触ってみなければまるっきり木そのものですが、実際はフェイク。
つまり木肌そっくりに見せかけた樹脂でできたドアなのです。立てつけが悪くなって交換したドアは、木製無垢の扉でした。
ひさしはあるものの、西日が当たる厳しい環境のもと25年近い年月を雨風に耐えてきたので、表面は荒れ、すっかり古びてしまいましたが、こまめにオイルでメンテナンスしてきたこともあってそれなりの風格と味わいが加わり、家の顔として私は結構気に入っていたのです。
取り替えるにあたっては、同じような無垢のドアがよかったのですが、防犯性能のよいロックシステムを持ったドアがいいという家内の強い要望で却下。せめてもの希望で「木製に見えるドア」にしたものの、やっぱりフェイクはフェイクです。
どんなに似せても本物の木のように、重ねた年月で変化する表情ではないのです。ダイニングセットもそうです。
掃除をするのに軽くて楽なほうがいいといって木目調の家具を購入したのが数年前。
これも見ためは木ですが、結局は合板に単板を張ったものです。
時間とともにあめ色に変わってツヤを増す無垢の家具とちがい、時間がたっても無表情どころか、ところどころ表面の単板がふくれたりはがれたりしてすっかりみすぼらしくなってしまいました。わずか数年だというのに。
私が中学生になるときに亡き父が買ってくれたケヤキの一枚板の机。もう50年近く使っていますが、キズさえ愛着がわいて手放せないのとは正反対。生活が便利になればなるほど、そういった味わいや年月を刻む「モノ」というのがずいぶん少なくなってきているような気がします。
フェイクという言葉にはどこかしら後ろめたさが感じられます。
どんなに精緻で精巧、時には本物以上に見せることができても、しょせんは「ニセモノ」というレッテル。
擬似観葉植物、フェイクファー(人工毛皮)、木目調○○、私たちのまわりにはそういった「エセ」 「そっくりさん」「なんちゃって」ものがあふれています。
そもそもどうしてフェイクが発達したかといえば、「本物」は高い、手入れが面倒くさい、壊れやすい、などのデメリット面を補うため。
見た目は本物そっくりに保ちながら、なおかつ安く、手入れが簡単で、長持ちする、という「いいとこ取り」を求めるというフェイク。
ある意味ずうずうしいほどの貪欲さ。年月を重ねても不変、放ったらかしでも平気、なんてそんな味気ないもの、どうしたって愛着を感じられるわけがありません。
家の玄関ドアだって、前はボロいながらも「風合いのある立派なドアですね」と時々ほめられたのに、今じゃ高性能ロックシステムが冷たく見張り番をする単なるゲートと化してしまい、無個性なたたずまいのドアは誰の興味もひきません。
たかがドア。
それでもフェイクを利用すると、なぜかその持ち主や空間までも安っぽく見える。
玄関が新しくなって安心だワと喜ぶ家内の後ろで私はひとり憮然としているのです。シニア向け特集記事
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