どんど焼
2012/1/8 晶子 さん小正月の火祭り、どんど焼。
私の住む地方では「おんべ」「ほんやり」などとも呼ばれる行事です。近年ではかつての田んぼや畑が宅地になり、子どもが少なくなってきているので規模は縮小されつつありますが、どんど焼は今なお行われている新年の風物詩です。
どんど焼とは、ご神木と呼ばれる芯を中心に竹で骨組みをつくり、それに松や細い竹の枝で肉付けをした 3~4m程度の高さの円錐形のかたまりで、それに持ち寄った正月の門松や松飾り、だるまや書初めなどを加えて仕上げます。この本体とこれを燃やす行為両方をさして「どんど焼」といいます。
古くは平安時代にさかのぼり、「正月15日か18日に宮中清涼殿の庭で、青竹を立て、扇などを結びつけたものに、吉書を添えて焼いた」とされています。
その火でお餅などを焼いて食べると、その年は病気にかからないと言われています。師走も押し迫るころになると、どんど焼の材料と見られる切り出した松や竹を積んだ軽トラックが山沿いの道を走っているのをみかけます。
この行事をやるのは地区(複数の町内会)単位で、主に小学校の子ども会とPTAAが中心になり、私たち爺婆は知恵袋世代としてお手伝いします。
PTA役員さんは手配や準備におおわらわで、どんど焼が終わらないと正月が来ない、とボヤいています。
確かにそうでしょう。どんど焼のてっぺんにつける花傘は今でも本物の蛇の目傘で、それを探すのにひと苦労。今どきそんな傘を持っている家などそうそうありませんから、新しく決まった役員は、前任から役をバトンタッチされるとすぐ、翌年の花傘の心配をしなくてはならないほどです。年内に竹取、花傘作りなどの材料をそろえると、いよいよ松の内が明けるころ組み立てます。この日は、地区子ども会の小学生とその保護者が各戸をまわり門松や松飾を集めながら、組立て場所である公園(もしくは田んぼなど)に集合し朝からどんど焼作りを始めます。
どんど焼はご神木と竹と松でできた単純な構造ですが、いざ作ってみるとこれが案外難しいのです。難しいというより、やはり経験で得たコツが必要なのです。小学生だけでは手に負えませんから、ほとんどは保護者の作業で、ゆうに2時間はかかります。冬空に映えるどんど焼の竹と松の翠(あお)さはとても美しいものです。
翌日には燃やされてしまいますからね。その姿は短いのです。どんど焼きの点火は翌日早朝5時半ごろ。眠い目をこすりながら、餅とあみを持って暗い道を懐中電灯で照らしながら歩きます。昔は「ほんやりほーほー」と歌を歌いながら集合したものです。
そしていよいよ点火。この役目は年男の小学生、つまり新年に12歳になる男の子たちと決まっています。どんど焼は荒天でも決行の場合が多く、ちらつく雪はいっそう火祭りをかきたてます。
ただ祭りとはいっても火のまわりで飲めや歌えの宴会をするわけではなく、人々は静かに火を囲んでじっと見つめるだけです。
暗がりの空に舞い飛ぶ火の粉と竹の爆ける乾いた音。
離れていても十分熱する空気のなか、新年の期待と不安と、太古の昔から人々はこうして火の神を感じるのだという一種の連帯感につつまれるのです。東の空が明るくなり始めると、陽のひかりに圧されるように火の勢いはすっかり弱くなります。遠巻きでどんど焼を囲んでいた人々は、まるで催眠からとけたかのように、くすぶる火に近づいて熾(おき)をかき出し、あみをのせて餅を焼きはじめます。
焼き餅をほおばっていると先ほどまでの火祭りがまるで夢だったかのようです。この福餅で今年一年、元気で過ごせますように。
シニア向け特集記事
<お金や暮らしに関する特集>
老後の計画
(1)お金 (2)個人年金保険 (3)医療保険 (4)確定申告 (5)住宅ローン (6)老人ホーム定年後の生活費、どれくらい必要? / 退職時の貯蓄、どれくらい必要? /
年金生活・・・老後のお金について考える定年後
エンジョイライフ / 貯金半減 / 月20万で楽々 / 無収入・一人暮らし /
健康オタク / 熟年離婚 / 熟年結婚 / 教育費貧乏シニアの群像
(3)田舎暮らし (4)海外暮らし (5)野菜づくり (6)写真展<働くことや仕事に関する特集>
元気で働く
64歳男性、看護 / 63歳女性、保育補助 / 58歳女性、クリーニング&パン定年後
まだ働いています / 仕事がしたい / 60歳からの働く /
会社に残れたものの / 早期退職か居座りか / 失業しています定年後も働こう|定年後の独立開業 / シニア夫婦が自宅でしている仕事
シニアの群像
(1)異業種交流 (2)職探し (7)独立開業
定年生活ではLINEのお友達を募集しています☆以下のQRコードからお友達登録をしていただきますと、LINEだけでのお役立ち情報をお届けします。
定年生活.com トップ» 暮らす » どんど焼