世相を斬る!(12)原子力安全委員の寄付金受領は言語道断
2012/1/6 虎穴改め、臥龍 さん先ごろ、国の原子力安全委員会の委員のうち、3割近くの委員が、関係業界から寄付金をもらっていた事実が判明しました。原子力に関係する電力会社、原子炉メーカー、ゼネコン、商社、金属会社、鉄鋼会社など、いわゆる“原子力村”と称する企業からの寄付金です。
報道によると、委員長を含む安全委員会のメンバー89人のうち、24人までが、2010年度までの5年間に計8500万円を受け取っていたといいます。
東京電力福島第一原子力発電事故によって、今なお避難生活を余儀なくされている多くの地域住民の方々、放射能におびえる広範囲な地域の人々、子供たち、さらに農畜産物への風評被害で損害を受けた多くの人たちのことを考えると、原子力安全委員会委員の寄付金受領は、まさに言語道断、怒り心頭に発します。
原子力安全委員会は、原子力の安全性を担保する“最後の砦”とされ、安全技術に関する最高の技術者、学者による専門機関とされています。中立的立場で政府や電力業界を指導する役割を与えられており、内閣府に直属している機関です。その最高機関が、原子力業界からの寄付金を受け取っていたとなると、原子力安全性に対する国民の信頼は根底から覆されることになります。
原子力の安全性に関するさまざまの政府の規制は、安全委員会の方針に基づいて実施されており、その方針は原子力における“憲法”の役割を持つとされています。そのため、安全委員会の方針には、電力や、原子力関係業界を所管する経済産業省、資源エネルギー庁、原子力安全・保安院、文部科学省等の機関がいずれも従うことが法律で定められているのです。
原子力の“安全神話”は実は、この安全委員会のこれまでの議論や方針の中で作り上げられてきたものです。“マグニチュード8以上の地震は起きない”“10メートル以上の高い津波は想定しなくてよい”“原子炉のメルトダウンは日本では起きない”“原子炉は五重の壁で守られているので放射性物質が外部に飛散することはない”…。こうした安全神話は、地域の人たちはもちろん、国民一般にも信じられてきたのです。
今回の寄付金受領問題は、こうした安全神話が、実は業界の要請で作られてきたものではないのかという疑惑を招きます。原子力発電コストや発電所建設費、安全対策費などのコストを出来るだけ低く抑えるために、安全基準は緩やかな方がよいと考えるのは、関係業界なら誰しも考えることでしょう。関係業界が、安全基準を作る委員の先生方に、多額の寄付金を納めていたのは、そうした思惑があってのことにほかなりません。「業界への便宜を図ったことはない」と委員は異口同音に答えていますが、国民はそんな言葉を信ずるでしょうか。
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