世相を斬る!(17)海外留学に支援策を
2012/2/10 臥龍 さん
日本企業のグローバル化が求められる中で、学生の海外留学が逆に減少傾向にあるという、ゆゆしい実態が報告されています。文部科学省がこのほどまとめた集計によると、2009年に海外留学した学生は前年より約6900 人少ない5万9000人と、6万人を割り込みました。5年連続の減少で、ピークの2004年に比べると、約2万3000人、28%も減少したことになります。日本の企業、産業は、恒常的な円高もあって、今後、海外に活躍の舞台を移さざるを得ない状況にあることを考えると、学生の海外志向の弱まりは、日本の先行きにカゲを落としているように思えます。海外留学の減少にはいくつかの要因が考えられますが、大きくは、若者の内向き志向と国内経済の停滞にあると考えられます。
少子化によって子供の競争性が低下する一方、現状の暮らし向きに安住して、向上心が失われつつあることが、要因と思われます。かつての高度経済成長期の日本では、“追いつけ追い越せ”という機運が国内に満ちており、国内の競争はもとより、海外との競争でも、そうした意識が強かったようです。
外国との競争意欲の低下は、逆に日本に来ている海外の留学生、とりわけ中国、韓国、台湾の学生が大幅に伸びていることと対照的です。これらアジアの国々からの留学生は、日本に学び、将来、日本に“追いつけ追い越せ”と、強い意欲を持っているといわれます。中国から留学生だけで、約8万7000人と、日本からの海外留学生の数を大きく上回るほどです。
国内経済の停滞で、家計も企業もゆとりがなくなりつつある点も見逃せません。家計では、子供の教育負担に加えて、海外留学までの費用の負担が困難になっているのが現状です。企業も、新卒採用の枠を縮小するとともに、少しでも優秀な学生を採用しようと、内定時期を年々早めています、そのため、学生自身も就職活動に忙しく、海外留学どころではなくなっています。
日本の企業や産業は、今後、好むと好まざるとにかかわらず、海外での事業展開を迫られます。その場合必要になるのは、国際化に対応できる人材の確保です。海外留学生がすべて国際化に対応出来るとは限りませんが、少なくとも、グローバルな視点から、企業のあり方を考えられる人材になると期待できます。そうした人材を確保するためには、海外留学を支援するための制度的な枠組みは不可欠でしょう。海外留学のための奨学金制度の思い切った拡充などを、国や自治体で検討する必要があるように思われます。日本が、国際社会の中で生き残っていくためには、グローバル化に対応出来る人材の育成が欠かせません。
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