老い防止は読書
2012/2/14 未知との遭遇 さんそれまでの読書遍歴はどちらかというと、現代ものなら自分と年齢の近い作家の書いたもの、あるいは、年上の著者の作品を多く読んできた。意識していたわけではないのだが、登場人物の造形や時代設定などが読み手である自分と近いものを感じたからだろう。裏を返せば「分かる」という至極、単純な理由からである。
しかし、3年ほど前からそうもいっていられなくなった。仕事として本を読むことになったからである。当初、てこずったのは、たとえば一例をあげるなら20代~30代作家が中心の「ライトノベル」のジャンルだった。軽妙な文体、情景描写や人物がよく描けていてうまいとは思うが、あとに残らないのである。テレビのドラマをみているような印象なのだ。ひとことでいえば、どれもこれも同じという読後感である。
そう感じるのが、そもそも老いなのだろう。若い女性がみんな同じように見えてくるように。だが、不思議なもので、まとまった冊数を読破していくうちに、いつしかはまっている自分を発見した。つまり、読み方が理解できてきたのだ。そうすると興味がでてくるし、視野が拡がってくる。あまり大袈裟なことはいいたくないが、老い防止は「本の探究」かも知れない。女性作家の作品もどちらかというと苦手だった。男と女の感性は当然、異なる。よく「女性の感性に触れた」という言い方をするが、その感性のところがいまひとつ、馴染んでこなかった。だから、女性の作品は知らずしらずのうちに遠ざけていたところがある。
それが、仕事で読まなければならなくなってから変わってきた。感性を分かろうとしている自分がいるのだ。これは大きな収穫だったと思う。本の仕事がなかったら、どうだったろうと考えるときがある。食わず嫌いの延長線だったはずだ。そういう意味ではこの仕事を続けてこられたことに感謝している。最近、「若くなったんじゃないの」といわれることがある。これも、「未知なる読書体験」のおかげかも知れないと密かに思っている。シニア向け特集記事
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