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新しい農業

2012/4/24  あぐり さん

シニア|農業
私は中部地方の、比較的農業がさかんな地域に住んでいます。
先日、一枚の広告チラシが話題になりました。
肥料(飼料)会社を母体とする新手の会社が起業され、その業務内容というのが「農業のお手伝い」専門なのです。

これから農繁期を迎える今、働き手がいない高齢の零細農家では今年は畑や田んぼをどうしようかと決断する時期です。
その企業の特徴は、農業全体の請負いから、草刈り、田植え、受粉、収穫といった個別・部分的な作業まで柔軟に応じるところにあります。
聞いた話では広告の反響は大きく、その日は電話が鳴りっぱなしだったそうです。

今までにもシルバー人材派遣などで農作業をお手伝いするサービスはありましたが、収益を目的とした企業が本格的に農業に乗り出すのは初めてです。
私の住んでいる市では何年か前に、都市部の食品加工会社が進出し、原料となる果樹の需要が高まって活気づいたことがありましたが、結局は安く買い叩かれてしまうため農業の振興にはいたらず、その食品加工会社も一部を残して撤退してしまいました。

不足しているのは農業そのものの「担い手」であって、野菜や果物が不足しているわけではないのです。
子どもが農業を継がない、という傾向は顕著で私の家の近くの田畑も、次々と宅地になっていきます。
田んぼや畑はやらないけれど、先祖伝来の土地を勝手に手放すのもままならず、かといってそのまま遊ばせておくわけにもいかず。収入はなくても固定資産税はかかってくる。
というとになれば、放ったらかした土地よりマンション経営の方が子どもや孫たちに喜ばれる・・・年老いた親たちがそう考えるのも無理もないことでしょう。

一方、そういった新しい農業ビジネスに着手したその会社も、農業自体が縮小してしまえば、肥料や飼料が売れなくなってしまいます。
だから自らがその市場に参入することで市場の維持をはかることができます。

これは小耳に挟んだ話ですが、その企業のトップはTPPに参加して、大規模な農業経営を実現することが、結果として農家の生き残りになると考えているようです。

同じ県内で、大規模に高原野菜を作っている農家の収入は1.5~2千万はあるといいます。
農業は儲からないのではなく、やりかた次第でいかようにもなる、ということでしょう。
これまで、補助金をもらって適度な農業をしてきた零細農家はこれからの時代それでは生き残りが厳しいことは確かです。
農地をつぶして宅地にしても、人口が減少する今後は住宅が過剰になり、マンションやアパートの部屋をいっぱいにするのが難しくなるでしょう。もっと先にすすめば、廃屋ばかりが増えてしまう心配もあります。ハコものはいったん造ってしまうと、メンテナンスを含めあとが大変なのです。

なにより、世界的な人口増加で食糧不足が懸念される中、食糧自給率をあげるためにも農業の新たな模索が必要だと思います。
最後に、その会社はシニアの雇用も積極的に検討しているとのことですから、元気なシニアに働く場を生み、農業が活性化すればまさに一石二鳥。
今後に期待したいところです。

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