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ふるさと納税 泉佐野市の除外は継続 泉佐野市と国の主張はどちらが正しい?

2019/10/21 

 総務省は、大阪府泉佐野市に対するふるさと納税の除外を継続する決定を2019年10月3日に行いました。

 http://www.soumu.go.jp/main_content/000642334.pdf

 こうした総務省の決定に対し、いうことを聞かない自治体を村八分にする決定という批判も出ています。泉佐野市は法的対応も検討しているとのことですが、そもそもどうしてこの様なことになったのかを改めて振り返ってみることにしましょう。

問題の経緯

 泉佐野市は改正地方税法に基づく新制度開始前の昨年11月から今年3月までに、返礼品に関する総務省の通知に反してネット通販大手「アマゾン」のギフト券を贈るなどして約332億円の寄付を獲得。総務省はこうした過去の募集方法を問題視し、泉佐野市を制度から除外することにしました。

 泉佐野市からの不服審査の申し出を受け、第三者機関である国地方係争委員会は9月に全会一致で勧告を決定。泉佐野市の寄付募集について「制度の存続が危ぶまれる状況を招いた」と批判する一方、過去の行為だけを理由に泉佐野市を除外するのは「法律の範囲を超える恐れがある」などと指摘し、総務省に再検討を求めていた。
 総務省はこれに対し、他の税制でも、過去の事実に基づき適用の有無を判断することはあるとして、問題はないと説明しています。

後から決めたルールで除外?

 ふるさと納税は今年6月に返礼品を「寄付額の3割以下の地場産品」に限った自治体だけが参加できる新制度に移行しました。総務省はこれに先立って同様の基準を守るよう自治体に要請していたが、泉佐野市など4市町は要請に従わずに多額の寄付金を集めており「昨年11月以降、制度の趣旨に反する方法で著しく多額の寄付を集めていない」との基準に適合していないとして、新制度から除外したのです。
 ところで、この様な事後的なルール変更に伴って不利益を与えることは地方自治の観点から、問題はないのでしょうか?

触らぬ神(お上)にたたりなし?

 ふるさと納税に関するルールは条例ではありませんので直ちに当てはまるわけではありませんが、憲法94条は、地方公共団体は、条例を定めるにあたって「法律の範囲」内で条例を定めることが出来るとされています。当然のことながらこれを根拠に地方自治体は無原則に自分たちでルールを決めるのではなくあくまで法律があれば、その法律の範囲内でルール(条例)を定めることが出来るのです。

 では法律がない場合には、どうなのでしょうか?この場合、法律がないことが条例を否定するものではない場合には、当該分野にも条例を定めることが出来ると理解されていました。ではふるさと納税の趣旨とはそもそもどの様なものだったのでしょうか?

 以下、泉佐野市のホーㇺぺージでは次のように紹介されています。

第一に、納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。それは、税に対する意識が高まり、納税の大切さを自分ごととしてとらえる貴重な機会になります。
第二に、生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。それは、人を育て、自然を守る、地方の環境を育む支援になります。
第三に、自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。それは、選んでもらうに相応しい、地域のあり方をあらためて考えるきっかけへとつながります。
(出典:泉佐野市ホームページ)
https://furusato-izumisano.jp/campaign/issue3-2.php

 
 これを要約すると、
①ふるさと納税は、生まれ故郷などの地方自治体の税金の使われ方を考える機会とする
②ふるさと納税は、地域や地方を支援するツールである
③返礼品も含めて、ふるさと納税を通じて自治体間の競争を促す

 という趣旨であることが読み取れます。ここには返礼品を地産地消の物しなければならないという趣旨は読み取れませんね。むしろ、競争を促しているものですから、返礼品の競争を促しているとさえ、言えるでしょう。

 ただ一方で、地場商品ではない返礼品を「エサ」の様につって寄付金を募ることはそもそも地域産業等の活性化にはつながらず、②の要旨に反するという見方も出来そうです。

 今後、泉佐野市の千代松大耕市長は11日、総務省の決定取り消しを求めて大阪高裁に提訴することを明言。16日は大阪府の吉村洋文知事も泉佐野市の立場を支援するコメントを発表しています。
 やはり触らぬ神いや触らぬお上にたたりなしとなるのか・・・、今後の展開に注目ですね。

CMでお馴染みのふるさと納税サイト【さとふる】

(文責:定年生活事務局)



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