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定年後や老後の生活でトラブルにならない契約に関する豆知識

2020/2/15 

高齢者に多いトラブルの1つが「契約」。契約手結時には、当事者間で様々な約束事が取り交わされます。支払い、契約の更新、解約、クーリングオetc・・・。契約書には細かい文字で認識や解釈に相違が発生しない様にたくさんのことが書かれているけれど、内容はよく分からないという方も少なくはないでしょう。

ところで、契約はあのような契約書がないとそもそも成立しないものなのでしょうか?

口約束でも契約は成立する

 ある人がご自身が持っている駐車場スペースを誰かに貸しているとしましょう。ところが調べたところ、その契約書が見つかりません。聞けば、そのスペースは知人に口約束で貸しているため、借主の住所すら分からないというのです。

 この様な場合でも契約は有効に成立するといわれています。なぜならこうした契約は賃貸借契約と呼ばれますが、賃貸借契約は原則、当事者間の合意だけで効力を生じます。これを専門用語で諾成契約と呼ぶのですが、諾成契約は書面がなくても成立するとされています(遠藤浩ほか編『民法6 契約各論 第4班増補補訂版』 97頁)。

 諾成契約と聞くと難しそうですが、売買がその典型例です。例えば、あなたがコンビニでビールを買うとしましょう。その際、イチイチ、コンビニで売買契約書を作成し、署名、押印するでしょうか?
 通常は、
「ビール買います」
 「はい、○○円です。」
といわれて、その代金を払って終わりです。

 賃貸借契約もこうした売買契約と同じ性質とされているのです。

 すると賃貸借契約の際に、不動産屋さんとかで説明を受けるあの書面は何かといえば、契約の証拠となる書類という位置づけになるのです。

証拠はトラブル回避に有効

 そうはいっても上記のケースで一切、契約書を交わさないのはちょっと危険な気がするのは当然の感覚でしょう。いくら契約が成立するとしても、契約書を残す行為はとても重要です。先程のケースでも滞納や他の車両は放置されているなどのトラブルが発生すれば、大きなトラブルに発展するのは明らかです。

 特に裁判となった場合、契約書は重要な証拠となります。証拠がない場合、裁判所ではその主張が認められることは少ないので、大いに悔やむ事態になるでしょう。将来のトラブル防止のためにも面倒でも契約書は残しておきたいところです。

契約書は必ずしも契約書というタイトルにする必要はない

 そうはいっても当事者間で、契約書を作成する場合、厄介な問題があります。契約の内容にもよりますが、特に借用書のようなケースでは契約書に印紙を貼る必要があります。その金額は下記の様に国税庁で公表されています。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf#search=%27%E5%8F%8E%E5%85%A5%E5%8D%B0%E7%B4%99+%E9%87%91%E9%A1%8D%27

 このように契約書によっては、印紙を貼らなければならないケースが多々あります(貼らないと法的には脱税になります)。しかし、金額によってはこの印紙、結構、バカにならない金額になります。
 そこで、表題を「契約書」にしなければ良いのです。具体的には「覚書」のような表題とし、内容は、契約書と同じ内容にすれば良いのです。あくまで印紙は契約書に貼るものであって、契約書でなければ貼付義務はなくなります。

 結構、使える知識ですので、参考にされてみてください。

(文責:定年生活編集部)
参考文献:本文中に引用のもの



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