国民生活センターでは外貨建て生命保険の相談が増加! 私たちがこうした金融商品で騙されないためにすべきこと
2020/2/26全国の消費生活センター等に寄せられる外貨建て生命保険の相談が増加しています。2018年度の相談件数は538件と、2014年度に比べて3倍以上になっており、2019年度も増加ペースが続いています。また、70歳以上の割合が相談全体の約半数を占めており、平均契約購入金額は1,000万円前後を推移しています。
外貨建て生命保険は、米国ドル等の外貨で保険料の支払や保険金の受取を行う保険であり、運用実績や為替相場の変動等により損益が発生するほか、手数料等の負担があります。
しかし、相談事例をみると、為替変動リスクや手数料の負担があることを理解していなかったり、生命保険であることを認識せずに契約しているケースや、「老後資金」「元本保証希望」などの消費者の意向と異なる勧誘・契約をされたといったケースが高齢者を中心にみられます。そこで、外貨建て生命保険のトラブルに遭わないよう、注意を呼び掛けています。特に、2019年の相談件数は483件で、2014年の144件に比べて3倍以上に増えています。
また、「外貨建て保険」の平均契約額は1千万円前後と大きく、大きな被害をもたらす原因となっています。詳細は、下記の国民生活センターでご覧いただけます。
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200220_2.html
実際の被害者の声
ここでは、実際に被害に逢われた方の声をご紹介しましょう。2019年8月受付 契約当事者:70歳代 女性の方です。
相談事例
元本保証を約束され豪ドル建ての保険を契約したが、元本保証ではなかった金融機関の職員が自宅に訪問し、預けているだけでは増えないと金融商品を勧められた。投資は絶対しないと夫婦で決めていたので、必死に断った。しかし職員は何回も自宅に訪れ熱心に勧めてきて、最後は上司まで電話をかけてくるので、仕方なく話を聞いた。預けていた定期預金500万円は満期前だったが、それを豪ドル建ての商品に変更したほうがよいと勧められた。何回も元本保証だと繰り返され、職員があまりにも熱心だったこともあり、押しに負けて仕方なく契約をした。電話で上司からも元本保証であるという説明を受けた。契約後に証書が送付されたが、保険会社との豪ドル建て個人年金保険契約になっており、不安になって確認すると、金融機関が代理店になっていると分かった。最近になり、契約内容を確認するため保険会社に問合せると、元本保証はないと言われ、80万円ほどの損失が出ていた。元本保証と信じて契約したので何とかしてほしい。
外貨建ての保険で元本保証はありえない・・・
上記のケースでいくつか気になる点をしておきましょう。まず。外貨建て保険で元本の保証はあり得ないと理解しましょう。通常の保険の場合、日本円で預けますので、為替の変動の影響を受けません。
しかし、「外貨建て保険」は、為替レートが変わると、その影響を受けてしまいます。 例えば、円安になれば保険金の受取額が増えますが、円高になると保険金の受取額が減ります。 反対に、円高が進んだ場合、払い込んだ保険料よりも、受け取る保険金が少なくなるので、「元本割れ」の状態になります。 為替レートはずっと同じということはありえません。リーマンショックや東日本大震災などの大きな出来事があれば、大きな変動がありますし、アメリカの大統領が誰になるかだけでも変動する世界です。現在は、安倍首相の進める経済政策「アベノミクス」で円安になっていますが、民主党政権時には円高状態が続いていたことを忘れてはいけません。
投資をしないと決めたらなら・・・
上記のケースでは、「投資は絶対にしない」と決めていたにも関わらず、結果的に金融商品を購入してしまっている点です。こうした投資には関心がない、あるいは知識がなくて購入できないという方は
きっぱりと断る
ということを貫くのが賢明です。また、銀行が代理店になっている場合、「銀行が扱っているから大丈夫」という思い込みが危険を招きます。 こちらも銀行が関わっているから安心というのは幻想ですから気をつけましょう。
それでも老後のことが心配だから・・・
それでも老後資金のことが気になる方も多いでしょう。特に「今の時代はマイナス金利の時代で預金をしても損をするだけですから」という説明を受けて、商品を購入したという方もいらっしゃると思います。
特に、銀行にお金を預けるだけで利息を得られる時代は終わってしまいました。この上記のケースでも「預けているだけでは増えないと金融商品を勧められ」て、結果的に商品を購入していますがこの点は正しいともいえます。ただし、相手もある意味、悪意をもって商品を売ろうとしていますので、こちら側も理論武装をする必要があります。定年生活では、こうした金融商品ついての知識を基礎から身に着けたい方向けのコラムを掲載しています。
まずはこうした内容を「生きた知識」として活用できるまで勉強をすることが肝要といえます。それが難しい場合には、こうした商品には手を出さないのが良いといえるでしょう。
(文責:定年生活編集部)
参考文献:本文中に引用のもの
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