シリーズ 人工透析の話(2)
2011/7/28糖尿と高血圧が原因で取り返しがつかない病気
人工透析の原因である慢性腎不全にはクスリはありません。腎臓の治療薬というのはないのです。
つまり、なったら終わり。腎臓をやられたら治ることはないため、一生透析機器のお世話になり続けなければならないのです(人工透析、腹膜透析など種類はありますが、基本は同じ)。透析患者の種類
(日本透析医学会調べ)
昼間人工透析82・5% 夜間人工透析14・1%
在宅人工透析0・1% 腹膜透析3・3%医師から人工透析を宣告されたらどうなるか。まず、シャント手術というのをします。これは利き腕でない方の手首の動脈と静脈をつなぐ手術です。人工透析は何回も血管に針を抜き差しするのだから、本来の動脈を使うと体への影響が大きい、そこで静脈を動脈化して、そこを使って血を抜くのです。抜いた血は透析機を通して濾過して、別の静脈に戻します。
ですから、1回の透析治療に2つの針を刺します。しかも血を抜く針だから、太さは1~1・5ミリはあるやつ。これを毎回刺しては抜いて行うのです。シャントができあがると、いよいよ人工透析治療の開始。1回4時間、週3回。だいたい日曜日は休みだから、中1日が2回と中2日が1回です。
透析中はベッドから動くことはできません。2本の針が刺さっているのだから、動こうにも動けません。時々、透析中の患者が出血多量で死亡するというケースがありますが、これは患者が寝返りを打つなどしてベッドで動いたために、針がはずれ、そこから血が流れ出したからです。太い針、動脈もどき、噴水みたいに吹き出すこともあるそうです。
多くの病院では、朝と午後の1回づつ透析治療を行いますが、夕方から始める回を設けている病院もあります。だから、勤め人であれば仕事が終わってから透析を始めることも出来ます。そういう人はベッドでおにぎりなんか食べてたりして・・・。
それでも、1回4時間は変えられない。絶対的な拘束感があるのです。6月に病院長が臓器売買で逮捕されましたが、そうした負担がいやになったのでしょう。それをさぼることはできません(たまにいるらしいけれども)。さぼったら、体内の毒素が腎臓を経て外に排出されないから、内にたまる一方で、それによって脳梗塞や心臓発作を起こしかねないのです。最悪の場合死んでしまう。いやでも続けなければならないのです。
できればそういうふうになりたくない、と誰もが考えるでしょう。
もともと腎臓に障害がある人はどうにも防ぎようがない。防げるのは後天的に腎不全になる可能性のある人です。こうした人工透析予備軍の、いわゆる慢性腎臓病の人は、1330万人もいるそうです。腎臓病というのは沈黙の臓器といわれ、自覚症状がないことが特徴で、1330万人のほとんどが危険に気づかず普通に生活していることでしょう。また、現在の人工透析患者の9割以上が50代のシニア世代ですから、ほとんどが後天的な腎不全だということがわかります。冒頭にも言った通り、腎臓のクスリはありません。
ではどうすればいいかというと節制すればいいのです。
腎臓障害の原因はメタボリックにあります。さらに直接的には糖尿病と高血圧です。この2要因が長い間に腎臓の働きにストレスをかけ、壊してしまうのです。
ですから、糖尿病と高血圧を防ぐ運動と食事をしていけば、結果的に腎臓障害も防げる、少なくともその可能性が高いということです。糖尿病の場合はカロリー計算と適度な運動。高血圧の場合は塩分と水分に気をつけて普段の生活を送ることが重要です(日常の生活で続けるのはなかなかたいへんなのですが、それについてはまたいつか機会があれば)。生活習慣病の延長にある腎臓をいたわるべく、シニア世代の皆様ご自愛を。
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