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それってメリットあるの? 今一度、節税する目的から考える

2021/11/5 

節税を積極的にするメリットとは、意外にも多くないのです。例えば、年収800万円だと住民税・所得税はあわせて90万円ほどになります。(一般的な年収800万円モデルで計算)さまざまな控除制度を積み上げていけば、10万円くらいまでなら戻ってくるかもしれないでしょう。

しかし、年収800万円を稼ぐ能力を持っている方であれば、10万円分節税する労力を、収入を10万円増やすことに注いだほうが長期的にはプラスになります。節税対策が悪いわけでもなく、節税対策の効果を否定するわけでもありませんが、節税対策に頭の中を占領されてしまい、自分のキャリアアップや収入アップの方策を取らないことは本末転倒です。

また「税金を支払いたくない」という感情から、節税のメリットを過大評価してしまうこともあります。その代表的な例は、所得税(や法人税)を減らすために、経費を使うというやり方です。

その典型が、「投資用マンションによる節税対策」です。ここで注意すべき点を説明しましょう。

虫の良い話ある?

「4000万円ほどの投資用マンションを、ほぼ全額ローンで購入し、家賃収入を得ながら、節税もできて、将来の資産形成もできる」という一見おいしい話、耳にしたこと、ありませんか?

こうしたマンション投資には確かに、節税効果があります。具体的には「減価償却費」という制度を使うことになります。購入金額(実際には建物価格)を一定年数で割り、減価償却という形で費用(経費)となり、給与収入で本来払わないといけない税金を減らせる、というものです。

鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年ですので、例えば4,000万円の物件を買い、そのうち土地代が1000万円、建物代が3,000万円と仮定します。
この建物部分の3,000万円を47年で均等償却すると、年間で約63万円の節税になります。

この物件を購入し、年間節税効果が20万円得られたとしましょう。それが5年続けば100万円の納税額を減らすことができ、一見得した気持ちになります。では、その5年後・・・4000万円で購入した投資用マンションの資産価値はどれくらいになるか想像できますか?

一般的に新築マンションは、新築プレミアがはがれると、3割ほどさがると言われていますので、実は2800万円くらいになっているのです。3000万円で購入したマンションが2100万円に・・・ということは、1200万円の損です。

得られた節税効果は+100万円 一方で購入したマンションの価値は▲1200万円。これは、「節税できる!」と目がくらんでしまい、本当の資産価値を見失ってしまった人に起こりがちな判断ミスです。節税を目的にすると、更に大きな損をかぶってしまう、とても一般的な事例です。

やっぱり税金は払いたくない!

たしかに「税金を支払うのが好き」という人はなかなかいないと思います。感情面で「税金を支払いたくない」と思われる気持ちはとてもよくわかります。
そこで、不動産投資をする方で減価償却のうまみを得たい方におススメが、中古の物件を購入することです。

まず中古RC造のマンションの場合、まず耐用年数を以下の計算式で求めます。なお計算の結果、1年未満の端数があるときには切り捨てます。また計算結果が2年未満になった場合は、2年とします。

取得時の耐用年数=(新築時の耐用年数-経過年数)+経過年数×0.2で算出します。

◇例1:築30年の中古マンションを購入したときの耐用年数は?

(47-30)(年)+30(年)×0.2=23年

計算の結果、耐用年数は23年になります。
すでに耐用年数以上を経過している中古マンションには、「新築時の耐用年数×0.2」の計算式で取得時の耐用年数を求めます。

この様に、中古マンションの場合は、新築マンションに比べて耐用年数が短くなるので、減価償却費の割合も高くなります。そのため、所得税の計算においては有利といえます。

私は福岡の100万円台の築29年のワンルームマンションを2016年に購入しました。加えて、室内設備も少し古くなっており、内装工事も行った結果、相当な金額が減価償却費として計上できた結果、

その物件から得られた賃料収入によって生じる所得税を相殺してしまいました。

同じ不動産の原価償却でも効果が異なる

 如何でしたでしょうか?同じ不動産でも減価償却に効果が全く異なることが分かります。
 それでもネット上や不動産屋からは新築物件でも節税効果がありますなど、とまことしやかに語られます。
 そんな時には今一度、問いかけましょう

「それってメリットあるの?」

 仮にあったとしても結果、安く売ることになり、トータルで損をしない様に慎重なシュミレーションが必要です。

(文責:200万円からの不動産投資をする大家さん)

九州を中心に200万円程度から始められる不動産投資を実践中。区分所有でも利回り13%以上を確保しつつ、売却時には購入時より高く売却することに成功。自らの手法でミドルリターン・ノーリスクを実現してもらいたいとコラムを執筆中。



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