【広告】60代から取得できる 合格率が50%を超える士業資格 海事代理士ってどんな資格なの?
2024/7/17合格率が50%程度の士業・海事代理士って?
海事代理士は、税理士や行政書士と並ぶ法律系国家資格八士業(弁護士、司法書士、行政書士、弁理士、税理士、社労士、土地家屋調査士、海事代理士)の1つです。この8士業は、受任した職務を遂行するために必要な範囲で、第三者の住民票・戸籍謄本等を請求することができる職業でもあります。
そんな海事代理士ですが、合格率が他の法律系資格と比較してもかなり高いことで知られています。
まずは下記図で、海事代理士の合格率をご覧ください。年度 受験者数 筆記試験合格者数 筆記試験合格率 口述試験合格者数 2014年 315人 146人 46.3% 134人 2015年 295人 151人 51.2% 116人 2016年 290人 141人 48.6% 133人 2017年 290人 142人 49% 159人 2018年 303人 157人 51.1% 150人 2019年 288人 156人 54.2% 97人 2020年 288人 156人 54.2% 124人 2021年 302人 167人 55.3% 209人 2022年 361人 199人 55.1% 194人 2014年からのデータになりますが2018年以降は概ね、合格率が50%台と極めて高いことが分かります。
ちなみに他の士業の合格率も見てみましょう。
受験者数 合格者数 合格率 合格に必要な勉強時間(目安) 税理士試験 28,853 5,626 19.5% 3,000時間前後 司法試験 3,082人 1,403人 45.5%※ 5,000時間以上 弁理士試験 3,177人 193人 6.1% 2,000~3,000時間 司法書士試験 12,727人 660人 5.18% 3,000時間程度 行政書士試験 47,850人 5,802人 12.13% 800~1,000時間程度 社会保険労務士試験 40,633人 2,134人 5.3% 800~1,000時間程度 土地家屋調査士試験 4,404人 424人 9.62% 1,000~1,500時間程度 海事代理士試験 361人 199人 55.1% 500~900時間程度 ※司法試験受験者は法科大学院終了ないし、予備試験に通過した者に限られることに注意。
この様に見てみると、一定の学習を経ないと受験できない司法試験を除くと多くの士業の合格率は概ね一桁台ですので、50%を超える合格率というのはかなり高い士業資格と言えます。
そんな海事代理士という資格の仕事の中身や試験について見ていきたいと思います。海事代理士は海の司法書士業である
海事代理士という職業を初めて耳にされた方と多いと思います。そこで、海事代理士の仕事内容について具体的にご紹介したいと思います。
海事代理士法に基づき他人の依頼によって、船舶登記や船舶登録、検査申請、船員に関する労務、その他海事許認可など、海事に関する行政機関への申請、届出その他の手続及びこれらの手続に関し書類の作成を代理・代行するのが主たる業務内容です。海事代理士の業務は船や海に関連する事柄に特化しています。
そのため、海の司法書士とも海の行政書士とも、海の社労士とも呼ばれています。まず、海の司法書士と呼ばれる点を見ていきましょう。
船舶は不動産ではありませんが、不動産に準じた扱いが必要です。具体的には20トン以上になると登記が必要です。船舶は本来動産ですが、総トン数20トン以上の推進機関を有する日本船舶を航行の用に供する場合には、商法及び船舶法の規定に従って運輸局等において登録を行い、船舶国籍証書の交付を受けることが義務づけられています。そして、その前提手続きとして所有権保存の登記を受けなければなりません。
船舶登記は、(根)抵当権設定の登記など不動産登記制度に類似した点もありますが、製造中の船舶の抵当権設定登記や船舶管理人の登記など、船舶に特有の登記も存在します。船舶法という公法との関係上、登記された船舶の所有権移転等については、2週間以内に変更の事実を登記及び登録に反映させることが義務づけられるなど手続きが煩雑です。
こうした煩雑な船舶登記を司法書士に加えて、海事代理士が行うことが出来ます。こうした業務を海事代理士が行えることから海事代理士が「海の司法書士」と呼ばれるようになっているのです。
海事代理士は海の行政書士業である
海事代理士の業務は「海の行政書士」としての側面があると言われています。具体的には船舶の登録・検査業務があるからです。
まずは船舶の登録です。
総トン数20トン以上の推進機関を有する日本船舶の所有者は、これを初めて航行の用に供する場合、船舶法の規定に従って運輸局等において新規登録を行い、船舶国籍証書の交付を受けなければなりません。次に船舶の検査です。
総トン数20トン以上の船舶については国が行い、総トン数20トン未満の船舶については小型船舶検査機構が行うことが船舶の検査として義務付けられています。この検査に合格しなければ、船舶を航行させることができません。
検査を受けないと航海できないという意味では車の車検に瓦当します。
こうした海事代理士が出来ます。このような業務内容から海事代理士は「海の行政書士」と呼ばれるわけです。海事代理士は海の社会保険労務士業である
海事代理士は海の社会保険労務士と呼ばれることがあります。ここで扱う法律は船員法になります。
船員法とは、海上における労働者(船員)の保護を目的とする法律で、船員と船舶所有者をその適用対象としています。
船員法でいう船舶所有者とは、単に船舶の所有権者を意味するものではなく、船員の使用者を意味すると解されており、船舶共有の場合には船舶管理人に、船舶貸借の場合には船舶借入人に、これら以外の者(船員派遣業者等)が船員を使用する場合にはその者に船舶所有者の規定が適用されます。船員法が適用される船舶は、日本籍船の自航船または日本籍船を所有することが出来る者が借入れた船舶で以下の船舶を含みません。
・総トン数5トン未満の船舶
・湖、川又は港のみを航行する船舶
・船員法第1条第2項第3号の漁船の範囲を定める政令に定めのある総トン数30トン未満の漁船
・船舶職員及び小型船舶操縦者法第2条第4項に規定する小型船舶であって、スポーツ又はレクリエーションの用に供するヨット、モーターボートその他のその航海の目的、期間及び・態様、運航体制等からみて船員労働の特殊性が認められない船舶として国土交通省令の定めるもの船員法は労働基準法と言った労働法とも異なる規定だったりします。
そのため、海事代理士試験でも船員法はかなり重要な試験科目を占めます。大型船舶(総トン数20トン以上の船舶)の船舶職員(船長、航海士、機関長、機関士等)として乗り組むためには、海技士の免許を取得する必要があります。こうした海技士の免許更新手続きなども海事代理士の業務になります。
他にも貨物の運送許可なども海事代理士の業務となります。
海事代理士になるためには
以上のような業務が海事代理士の仕事の一部です。
それでは海事代理士になるにはどうしたら良いでしょうか?海事代理士法では第2条で海事代理士となる資格を有するのは以下のいずれかに該当する者と定めています。
・海事代理士試験に合格した者
・行政官庁において十年以上海事に関する事務に従事した者であって、その職務の経歴により海事代理士の業務を行うのに十分な知識を有していると国土交通大臣が認めたもの後者は特認制度という制度で、例えば、行政書士試験でいえば、高卒以上の公務員は17年、中卒の公務員は20年の行政事務経験があれば、試験を受けずとも行政書士登録ができます。
また裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官、検察事務官として10年以上勤務すれば、司法書士として登録できます。
海事代理士も大臣官房、 総合政策局、 海事局、 各地方運輸局及び運輸監理部、沖縄総合事務局、運輸支局及び海事事務所、船員労働委員会、海難審判所、運輸安全委員会、海上保安庁及びその地方機関(海事に関連する部局に限る)に10年以上、勤務すれば海事代理士に登録することが出来ます。が多くの方は海事代理士試験を受験し、合格することで免許を受けることになるでしょう。
それでは海事代理士試験について概観しておきましょう。試験は平日実施されます。概ね9月末日の入日です。通常、多くの資格試験は日曜日などに実施されることが多いので、かなり珍しい試験であると言えるでしょう。
一次試験の実施会場は主要都市にある運輸局です。二次試験は東京でのみ行われます。【一次試験(筆記試験)実施都市】
札幌
仙台
横浜
新潟
名古屋
大阪
神戸
広島
高松
福岡
那覇【二次試験(口述試験)実施都市】
東京
次に試験科目です。試験科目は一般法律常識と専門科目に分かれます。
一般法律常識の問題では、憲法、民法、商法などについて出題されます。商法は第三編の海商の部分だけが出題範囲です。一般法律知識問題では条文ベースが多いのが特徴です。この一般常識問題では特に海商法が重要
であると言えます。これは海商法が専門科目である海事法令と密接にかかわるだけでなく、法律系国会試験で唯一、海事代理士試験のみが海商法を
専門科目である海事法令では様々な法律から出題されます。具体的には、以下のような法律が該当します。・国土交通省設置法
・船舶法
・船舶安全法
・船舶のトン数の測度に関する法律
・船員法
・船員職業安定法
・船舶職員及び小型船舶操縦者法
・海上運送法
・港湾運送事業法
・内航海運業法
・港則法
・海上交通安全法
・造船法
・海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律
・国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律及びこれらの法律に基づく命令試験科目は全部で20科目。合計は240点で6割以上の得点でで筆記試験は合格します。
この中では特に船舶法、船舶安全法、船員法、船舶職員及び小型船舶操縦者法が重要です。
それはこの4科目の配点が、20点だからです。他の科目は10点なので上記4科目はとても重要。
さらにこの4科目は口述試験でも聞かれる科目にも聞かれる科目ですので特にエネルギを-割く必要がある科目と言えるでしょう。海事代理士試験の合格基準
海事代理士の合格基準は満点の60%ほどです。ただし、一次試験と二次試験では試験形式が異なるため細かな違いがあります。
一次試験は満点の60%を取得すれば合格です。筆記試験は全18科目・合計220点満点で行われるので、132点以上の得点で合格です。
ただし、全科目受験者の平均正答率が60%を超えている場合には平均正答率以上の得点の人のみが合格となります。つまり、科目免除者以外の人の平均点が60%を超えている場合には上位半数だけを合格とするということです。
過去の試験を見る限り、平均正解率が60%を超えることは十分予想されます。実質的には相対評価で行われると考えて良いでしょう。
二次試験も満点の60%が合格基準です。口述試験四科目の総得点で60%を取得すればよいので、苦手科目があってもカバーできればOKと言えますね。形式的な試験ではなく、知識不足とみなされれば容赦なく不合格にされる試験です。
海事代理士会は強制加入団体ではない
そんな海事第士試験に合格すると、日本海事代理士会に登録しなければなりません。が、日本海事代理士会は強制加入団体ではありません。強制加入団体とは、法的に資格者がその資格を用いて日本国内で仕事をする際に加入が義務付けられている組織です。
税理士会がその代表例ですね。
強制加入団体ではないので、仮に海事代理士会に入会して、何らかの理由で退会しても海事代理士業務を廃業することはありません。これが海事代理士業独特のルールで他の士業にはあまり見られない特徴でしょう。
海事代理士は独学で合格することができるのか
海事代理士は独学でも取得できるというより、独学が基本的な勉強法です。海事代理士試験用のテキストとしては、海事代理士会が発行している「海事代理士 合格マニュアル」という本が有名です。
現在では第7版になっています。が、この本の最大の問題点は、問題と解答は載っているのですが解説が載っていないということです。
上述したように海事代理士試験ではかなりの海事法令を理解する必要があります。特に海事代理士試験では船舶法や船員法などが重要です。しかし、これらの法規に精通している人はほぼいないでしょう。
そんな試験分野についてメジャーな問題集で回答内容が分からない場合、ご自身で一から情報を収集する必要があります。そのエネルギーは結構膨大なものとなるので、予備校を使う手も考えてみてはいかがでしょうか?とはいっても他の資格と違って、海事代理士の資格講座はほとんどありません。マイナーな資格ですし、受験者数も毎年300人程度と需要がないので仕方ないですね・・・。
そんな中、2022年4月に法律資格試験の老舗「伊藤塾」でも海事代理士講座が始まりました。伊藤塾の海事代理士合格講座の講師は、井内 絢也(いのうち じゅんや) 講師です。2007年5月 京都市右京区に「行政書士井内絢也事務所」を開設。既に16年の実績がある方です。2010年 伊藤塾行政書士試験科にて行政書士試験の受験指導開始。伊藤塾で行政書士講師も10年以上やっているのでベテラン講師と言って良いでしょう。
もともと今から10年前から海事代理士の講座を考えていたということで、この度開講したとのことです。海事代理士の試験勉強は専門用語だらけですし、宅建や行政書士に比べて馴染みがなくてつまらないという意識から講座を開設したとのことです。
伊藤塾の海事代理士講座の特徴
伊藤塾の海事代理士講座は全国で唯一の海事代理試験合格のための予備校講座になります。以下が伊藤塾の海事代理士講座の講座料金になります。
講座 時間・回数 受講料 総合パック 全42時間+1回 59,800円 筆記試験・口述試験対策 インプット講義 30時間 34,800円 筆記試験対策 演習講義 8時間 14,800円 口述試験対策 演習講義 4時間 14,800円 公開模擬試験(筆記試験) 1回 9,800円 海事代理士試験は、20科目にも及ぶ非常に試験科目の多い試験です。そこで、2024年度から伊藤塾の海事代理士講座では、下石なるの条文集を作成。条文集では、出題範囲のうち、重要度をABCランクに分け、重要性の高いABランクの知識を中心に学習します。
また、なじみの薄い科目が多いのが海事代理士試験の特徴です。そこで、図表を多く使うことで視覚的にもイメージしやすい内容になっています。
とはいえ、海事代理士試験は、合格率が50%程度と非常に合格率が高い試験です。従って、全部のカリキュラムを網羅的に受講するというよりかは弱点部分をピンポイントで受講するのが良いでしょう。海事代理士の勉強時間はどれくらい?
海事代理士試験には初学者で500時間の勉強が必要であると言われています。行政書士や社会保険労務士などの法律系資格取得者なら300時間程度の勉強時間でも合格できるとされています。一日三時間勉強しても三か月はかかる計算になります。憲法や民法の試験もありますが、馴染みの少ない海商法や海事法令が試験のメインになるので合格率のイメージと比べて、それなりに勉強時間がかかるとみておいた方が良いでしょう。
現在の仕事の幅が広げられる!海事代理士
海事代理士の資格は単体でも効果がありますが、行政書士や司法書士として働いている人にとってはより大きなメリットがあります。
海の法律家という呼び名があるように海事代理士の知識や業務は行政書士などの知識や業務と隣り合っています。関連するところも多いので仕事の幅が広がるでしょう。
海事代理士が合格率が高い理由として他の士業の資格を持っている方が受験する方が多いことが挙げられます。この場合はダブルライセンスで働く道が一般的です。普段は行政書士や司法書士として働き、必要に応じて海事代理士として働くというスタイルになるでしょう。最近では行政書士や司法書士以外にも土地家屋調査士などの資格を持たれる方が受けるケースも多い様です。
海事代理士のまとめ
海事代理士について紹介しました。いかがでしたか?聞いたことのない資格だったという人も多いでしょう。
海事代理士は海版の行政書士といった職業です。一方で、新規参入が難しいとも言われており、ダブルライセンスを目指すのが良い資格と言えるでしょう。(文責:定年生活編集部)
本記事は2023年8月23日公開「60代から取得できる 合格率が50%を超える士業資格 海事代理士ってどんな資格なの?」を2024年度版に加筆、修正したものです。
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