【広告】土地家屋調査士試験で民法学習を行う際にオススメの基本書
2024/4/22土地家屋調査士試験で民法は短答式で3問出題される
土地家屋調査士試験を受験するにあたって、まずぶつかるのは民法の基本書選びです。土地家屋調査士試験は2004年の不動産登記法大改正に伴い、それまでは不動産登記法のみの短答式試験15問形式から民法3問と土地家屋調査士法1問を加えた20問形式に変更になりました。
土地家屋調査士はマイナーな資格ということも加えて、他の有名な資格試験に比べて過去問の量やそれにふさわしいテキストなども少ないようです。また択一式で3問の出題に留まることから不動産登記法や記述式の勉強にと比べると多くの時間をかけるのは得策ではないのも実情です。一方で不動産登記法の勉強を進める上で民法の知識は必須と言えます。一方で、民法分野が分かりにくいと思われる方に民法の基本書、参考書選びの参考になれば幸いです。
土地家屋調査士受験100講〔Ⅱ〕理論編 民法とその判例 改訂4版は分かりやすい?
土地家屋調査士試験受験に向けてのテキストとして市販されているので有名な書籍として『土地家屋調査士受験100講〔Ⅱ〕理論編 民法とその判例 改訂4版』があります。
著者である深田静夫氏が学院長を務める早稲田法科専門学院は土地家屋調査士の専門資格学校であり、50年以上の指導実績を誇ります。土地家屋調査士受験100講シリーズは三分冊のテキストで、試験データや合格のノウハウを豊富に持っている非常に有益な情報を詰め込んだテキストとなっています。
そのうち第Ⅱ巻の内容になっていますが、第Ⅰ巻や第Ⅲ巻と違ってあまりおススメできません。理由は民法の基礎知識と民法の説明が別の章立てになっているのですが、結果的にかなりのボリュームになっています。また別の章立てにも関わらず、内容が重複することもあり、あまり多くの時間がかけられない土地家屋調査委試験の民法のテキストとしては使い勝手が良くないと言えるでしょう。
それでは土地家屋士試験の択一3問対策の民法テキストを市販の著書から選択すr場合、どのような視点から見ればよいのでしょうか?
土地家屋調査士試験の民法は総則、物権、担保物権、相続分野から出題される
土地家屋調査士試験の民法用のとの購入をする場合、その目的が重要です。土地家屋調査士試験の民法では択一試験で民法総則、物権法、担保物権法、相続法の4分野から3題が出題されます。
従って、出題される該当分野の民法のテキストを購入するのがベストです。
よく土地家屋調査士試験では「宅地建物取引士」の権利関係の教科書を使うのが良いという意見もあるようです。しかし、土地家屋調査士試験の民法は総則・物権・相続の3分野から出題がメインです。宅建のテキストですとこういった区分が明確にされていませんので、該当する分野のみを読むのは少し難しいかもしれません。
では土地家屋調査士試験の民法対策にはどの様な視点で選んだらよいでしょうか?
民法テキストの選び方その1:通説に従った読みやすいテキストが良い
テキストを購入する場合、いわゆる通説と呼ばれる読みやすい本が良いでしょう。
巷で売られている法律学の本は、大学で教鞭を取っている学者が書いた本がほとんどです。
そのため、説明内容のレベルが異なり、ある程度理解できている前提で解説しているものや、初学者向けに丁寧に解説しているものまであり、千差万別です。特に注意が必要なのは、学者が書いているがゆえに気づくとその学者の独自の見解が前面に出てしまうテキストに出逢うことが良くあります。そうしたテキストを読み込むといつの間にか判例・通説と違う内容を理解していたり、誤解をする可能性があります。
試験でそうしたことが理由で正答すべきところを誤るのは非常に勿体ないです。民法テキストの選び方その2:テキストはあくまで過去問を解くための助けとする
土地家屋調査士試験に限らず、資格試験の受験のために選ぶ基本書はあくまで過去問を解くためと割り切りましょう。
テキスト探しは闇雲に探すのはあまり得策ではありません。土地家屋調査士試験で民法分野は択一式の3問です。法律系の資格試験にも関わらず、民法分野のウエイトは高くありません。
そこで、まずは過去問を通して、民法分野の出題を知ることが重要です。過去問問題集は東京法経学院から刊行されている「土地家屋調査士 択一過去問マスターⅠ(第10版) 民法・土地家屋調査士法・不動産登記法/総論」がオススメです。
この本は、平成元年から、令和4年度までの民法、不動産登記法総論、土地家屋調査士法の択一式の過去問344問が収録されています。その問題ボリュームは他の市販の問題集とは比較になりません。
またこの問題集は、書店やインターネットで買うことは出来ず、東京法経学院のHPでしか購入が出来ません。同署の目次を見ると民法の出題範囲に偏りがあることが分かります。
・制限行為能力者(民法総則)
・法人(民法総則)
・物(民法総則)
・意思表示(民法総則)
・代理(民法総則)
・無効、取り消し(民法総則)
・条件および期限(民法総則)
・時効(民法総則)
・物権法総論(物権法)
・占有権(物権法)
・所有権(物権法)
・地上権(物権法)
・質権(担保物権法)
・相続人(相続法)
・相続分(相続法)
・相続の承認及び放棄(相続法)
・遺産分割(相続法)
・遺言(相続法)
・遺留分(相続法)この様に見ると民法総則、物権法、担保物権法、相続法が試験範囲とされていますが、実際には総則、物権法、相続法に偏りがあることが分かります。従って、この3分野に関して記載がある著書が良いことになります。
少ない問題演習対策には土地家屋調査士 Top of The 民法 ハイレベル問題集が良い
3問しかないとされる土地家屋調査士試験の民法試験ですが、大きなハードルがあるのが「過去問の蓄積のなさ」です。
土地家屋超士試験はそれまでは不動産登記法のみが試験範囲の資格試験でした。それが2004年(平成16年)の本試験から民法の試験問題が出題されるようになりました。従って、2024年現在、3問×19年分=57問しか過去問の蓄積がない分野になります。そのため、民法分野の穴をなくすために他の資格試験の過去問を使って民法の学習をしようとする方も多い様です。
しかし、他の資格試験と土地家屋調査士試験の民法では出題傾向も異なりますし、難易度も異なります。極端なことを言えば「司法試験の問題が解けるようになっても当然に土地家屋調査士試験の問題が解けるようになるわけではない」ということです。
そんな土地家屋調査士試験の民法分野の対策を万全にしたい方におススメのが、同じく東京法経学院から出版されている『土地家屋調査士 Top of The 民法 ハイレベル問題集』です。
令和4年度の土地家屋調査士筆記試験の択一式民法については、例年どおり、その内容も単に法令を覚えているか試すだけでなく、正確に解釈しているか試す問題が出題されております。
東京法経学院では、土地家屋調査士筆記試験の民法対策として、難易度が高めの問題群、全127問(総則28問・物権、担保物権65問・債権7問・親族8問・相続・民法全般19問)が収録されています。
過去に本学院の司法書士答練などで出題した民法の問題群を、土地家屋調査士の民法対策用に編集し直して、改変した問題集です。
ただ、これまで土地家屋調査士試験で出題されていない債権法分野や親族法分野も含まれています。「たかが3問、されど3問」。民法科目を1問も落としたくない方にはうってつけの問題集と言えます。
この様な問題集を解くうえで、使用しようとする基本書で役に立ちそうか?というう観点が大事でしょう。
民法テキストの選び方その3:民法のテキストを選ぶ際はそのテキストの発売年月日に注意する
民法は近時、大改正が行われました。概要としては以下の通りです。
・2020年4月施行の債権法の大改正、それに伴う民法総則の改正
・2023年施行の物権法の改正と相続法の改正特に土地家屋調査士試験では後者の改正はとても重要です。物権編は明治以来の大改正で、相隣関係や共有の規定が改正され、また、財産管理制度に関する新しい条文が追加されました。発行日が古いテキストの場合、最新の法改正に対応しておらず、試験でその点を聞かれても知らなかったということもあり得ます。この点は特に注意しましょう。
民法テキストの選び方その4:物権法と相続法の記述が厚いのが良い
土地家屋調査士試験の民法は出題範囲に偏りがあることは上述しました。また市販の民法の書籍はその多くが大学教授が大学の授業ように書かれた書籍であることが多いです。また国家試験に使うとしても受験者数が多い「司法試験」や「行政書士試験」といった試験向けに書かれた書籍用であることが多いです。
土地家屋調査士試験用として着目した場合、特に物権法と相続法の2分野が重要です。その中でも物権法はかなり細かな内容まで問われていることが分かります。上述の東京法経学院の過去問題集をみても物権法特に民法209条以下の相隣関係をめぐる条文に関する知識を問う問題が頻出されていおるのが特徴といえます。また物権法と相続法とですと、「相続と登記」をめぐる諸論点は頻出の論点です。
この論点は物権法の単書であっても相続法の単著でも書かれていますが、物権法の細かい知識を網羅していることが過去問上、明らかですので、物権法の単著を購入するのが良いでしょう。
土地獲調査士試験の民法対策のおススメ基本書
ここまで、土地家屋調査士試験の民法対策のためのを視点をご紹介しました。では実際に土地家屋調査士試験における民法対策の基本書としては、どんな書籍がおススメでしょうか?
・ボリューム
・執筆者の信頼性
・内容の正確性
・内容の専門性
・金額の5つのファクターから数書を紹介したいと思います。
土地家屋調査士 択一攻略要点整理ノート
東京法科家学院から発行されている本テキストは、全2冊で、 「出題範囲」 が講分けされております。1講の中に短期学習で合格の基本力を養成する 「要点整理」 部分と、問題演習のための 「練習問題」 が収録されている 「問題演習」 部分により編集されております。
標題の項目に関して、本試験で問われた事項または今後問われるであろう事項、及び重要な条文、先例等をコンパクトに記述しています。この項だけを抽出して、「択一重要事項集」として別途活用することができるようにしてあります。
書籍内には練習問題も掲載されています。
「練習問題」の解説は、該当の講の中に収録しています。これは、学習する際に、「要点整理」での学習を、実際の5肢択一形式や穴埋め形式等の問題演習で確認するためです。なお、問題は東京法経学院の指導講座で過去に出題した問題を改変して収録しています。そのため、インプット知識→アウトプットという知識習得の流れを一冊で確実に行うことが可能です。
土地家屋調査士 択一攻略要点整理ノートの評価
上書は民法のみならず、土地家屋調査士試験の全科目が対象になっています。そのため、20,900円(税込)とかなり割高になっています。
従って同書は民法のみの基本書というよりかは土地家屋調査士試験全体の基本書という位置づけになると思います。ボリューム 18点 執筆者の信頼性 20点 内容の正確性 20点 内容の専門性 20点 金額 15点 オススメ度は93点です。
我妻榮・良永和隆著『民法 第11版』
民法の入門書としておススメできるのが我妻榮・良永和隆著『民法 第11版』です。
著者は我妻栄博士。我が国の民法の通説と呼ばれる見解は概ね我妻説を指すと言われています。日本民法の父といってもよいでしょう。
そんな我妻博士による『民法』は1949年に刊行され、2018年に至るまで、10回に亘って改訂された基本書です。我妻博士の教科書といえば、岩波書店から刊行された「民法講義」Ⅰ~Ⅴ4と現在は勁草書房から刊行されいる「民法1・2・3」です。
勁草書房から出版されている「「民法1・2・3」は小回りが利くということから俗に「ダットサン民法」と呼ばれ、現時点における通説の到達した最高水準を簡明に解説した民法の基本書の代名詞と呼ばれています。50代以上の方であれば大学の法学部で民法の教科書としてよく知られていたかと思います。
今回、ご紹介する「民法」はダットサン民法よりもさらに少ない分量でありながら民法全体を概観できる著書です。著者のはしがきにも書かれているのですが、我妻博士はこの本を「相当な自信作」とか書いていることからも我妻民法の中でも実はかなり評価の高い本といえます。この本の特徴はB6サイズで260頁というコンパクトな分量で何度でも読み返せます。民法を条文順に説明するのではなく、日常生活にかかわりのある重要な制度を簡明に解説する内容になっています。
そのため、土地家屋調査委試験に必要な「相続」についても35頁にもわたって詳述されており、こうした攻勢も土地家屋調査士試験の民法の基本書としておススメできる体系になっています。我妻榮博士の民法の最大のネックは物権法に関する記載はが少し薄いでその点、専門性で2点マイナスとしました。
ボリューム 20点 執筆者の信頼性 20点 内容の正確性 20点 内容の専門性 18点 金額 20点 オススメ度は98点です。
潮見佳男著:民法(全)〔第3版〕
令和の民法のトップランナーである故潮見佳男教授による民法の総まとめ本。民法総則から相続法までがこの一冊にまとまっており、基本的な事柄を中心に内容を絞った叙述で,民法総則から親族・相続法まで民法全分野をわかりやすく総まとめにした本です。
ただ本書については中止べき点が2つあります。
注意点その1:改訂の予定がない
残念なことに著者である潮見佳男教授は2022年8月に63歳の若さで急逝されました。そのため、今後著者による改定は期待できないという点です。
注意点その2:物権法の記述が弱い
本書のはしがきにもかかれていおるのですが、著者の潮見教授の専門分野が債権法と相続法のため、物権法、担保物権法、家族法は研究や理解が不十分といわれています。
特に土地家屋調査士試験との兼ね合いでは物権法の記述は重要です。
そうはいっても平成から令和にかけての民法の第一人者による民法を鳥瞰するテキストで最新の法改正の内容も盛り込まれています。ボリューム 18点 執筆者の信頼性 20点 内容の正確性 20点 内容の専門性 18点 金額 18点 潮見教授の民法は全体で724頁とかなりのボリュームです。
そのため、書籍も5040円(税込)と決して安くはありません。また物権法の記述が少し弱いという著者自身の評価もにより、ボリューム、記述の専門性、金額をそれぞれ18点としましたので、おススメ度は94点にになります。いかがでしたでしょうか?
土地家屋調査士試験における民法の勉強は択一試験で3問しか聞かれない科目です。
一方で不動産登記法の理解の前提になる要素の側面もあり軽視はできない科目でもあります。
できうるかぎり効率よく学習することが土地家屋調査石試験受験には必要だと言えます。
本記事が土地家屋調査士試験の民法学習の参考になれば幸いです。(文責:定年生活編集部)
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