【PR】土地家屋調査士試験における基本書・参考書とは?基本書学習で調査士試験合格は可能?
2024/10/1法律学習に必要な基本書、予備校本とは?
不動産登記法の午後試験は、民法、不動産登記法、土地家屋調査士法に関する択一試験と記述式試験を2時間半で解答する試験です。従って、法律学習が必須となります。
巷で販売されている法律学習の教科書には、学者が書いた専門書である基本書と、各受験指導校が出版している予備校本があります。
これから試験の対策を始められる方は、どの本から手を付けたら良いのかと迷う方も多いことでしょう。そこで、この記事では、法律学習の基本書と予備校本の特徴を解説したうえで、おすすめの基本書の紹介もしていきます。基本書・予備校本選びの参考にぜひご活用ください。
土地家屋調査士試験の基本書とは?
基本書とは、学者が書いた法律の専門書のことです。これをご覧の読者の方で大学に進学された方はご記憶の方もいると思います。中学、高校の教科書とは、文部科学書の指定の教科書であったのに対し、大学に入ると一般の書籍が教科書として指定されることが多く、その費用も含めて驚かれた方も多いと思います。
ここでいう基本書とはそういった書籍のうち、学者の書かれた書物を指します。
ここでは、基本書を使用して土地家屋調査士試験の学習を行うメリットとデメリットを解説します。基本書学習のメリット
基本書は、学者が特定の法律科目について網羅的に一貫性をもって解説したものです。そのため、基本書を最初から通読すると、その法律科目を体系的に理解できるようになります。
試験で問われる論点についても、問題の所在や学説の対立状況などを理解するのには大変に役立ちます。また最近では複数の学者の手による共著による教科書がかなり増えてきました。そのため、記述内容も平板な書籍が増え、著者の個性が薄くなった著書が増えました。
基本書学習のデメリット
基本書は、土地家屋調査士試験対策のための本ではなく、法律を学ぶための専門書です。そのため、特に法律学の初心者にとっては難しい内容も多く含まれています。
また多くの基本書は司法試験など、他の資格試験の受験生向けに書かれていることが多いのが実情です。そのため、ある分野は難しすぎたり、反対にある分野は情報は少なすぎたりということが起こったりします。試験のレベルに合わない基本書を選んでしまうと、結局、勉強を挫折してしまう原因ともなります。
土地家屋調査士試験における予備校本とは?
土地家屋調査士試験の予備校本とは、学者ではなく各受験指導校が出版している試験の教科書のことです。
ここでは、予備校本で学習するメリットとデメリットを見ていきましょう。予備校本学習のメリット
予備校本は、試験対策に特化したもので、専門的な内容もかみ砕いて分かりやすく記載されています。また土地家屋調査一試験の試験科目のうち、不動産登記法の表題に関する登記や土地家屋調査士法に関しては学者の手になる基本書の出版が非常に手薄な分野でもあります。
そこで予備校本で試験での重要個所を中心に効率よく学習を進めることで試験の合格に必要な知識を分かりやすく習得できるメリットがあります。予備校本学習のデメリット
予備校本は、過去の試験問題や基本書の中から、試験で必要とされる知識を中心に抽出して作成されています。そのため、1つ1つの論点の理解が出来ても全体的な体系の理解が不十分ということはあり得ます。
特に民法分野では論点のみの学習では失敗をする恐れがあるので、基本書で体系的な知識を植えてつけておく必要があるという点が予備校本学習でのデメリットと言えるでしょう。土地家屋調査士試験の科目別基本書
次に土地家屋調査士試験の科目別の基本書をご紹介しましょう。択一式試験のうち、民法は3問、不動産登記法は16問、土地家屋調査士法から1問が出題されます。なお不動産登記法の出題範囲の中には、筆界特定に関する知識や区分所有法の知識が求められます。
この記事ではそうした分野にも言及をしたいと思います。また土地家屋調査士試験のヤマ場は書式試験です。
民法
最初は民法です。民法は主に総則、物権、相続法が対象です。従って、この分野中心の基本書を購入するのが良いでしょう。とはいえ、各々の分野ごとに書籍を購入するのは適切ではありません。
まずは以下の書籍がおススメでしょう。裁判所職員総合研修所 『民法概説 第5版)』
いわゆる書記官モノと呼ばれる裁判所書記官研修用のテキストです。裁判所が発行しているので、信頼度抜群でありながら、膨大な量の民法を簡潔明瞭に記した全体外観に適している基本書といえます。また実務家向けの著書のため、判例を重視した著述になっているので、試験などで判例の知識を問われる際にも有効な著書と言えます。
ただし、この書物は総則から債権までしか載っておらず、親族・相続法は該当外になっています。
土地家屋調査士試験では相続法の知識が択一や書式双方で重要です。そこで相続法は以下の様な書籍がおススメです。我妻榮著『親族法・相続法 第5版』
これは日本民法の父と呼ばれる我妻榮博士の民法の基本書です。俗にダットサンと呼ばれ、現時点の通説の到達した最高水準を簡明に解説することが主眼に置かれています。著者は戦後の憲法改正に伴う家族法大改正の立案担当者の一人であり、まさにこの親族法・相続法は立法担当者による解説という側面があります。
著者の死後は、法改正に合わせて改訂がなされ、長く読み継がれてきた権威ある書物と言えます。
相続法はB6サイズで200頁強ですので読みやすいかと思います。さらに定年生活では過去に民法の基本書選びの参考になる記事を公開しています。併せてこちらもご覧ください。
不動産登記法・土地家屋調査士法
不動産登記法は学者の手になる書籍の少ない法分野です。また土地家屋調査士試験では権利に関する登記ではなく、表示に関する登記が出題されます。
その中でも学者の書かれた不動産登記法を読む場合、主に不動産登記法の概要をつかむために活用するのが良いでしょう。山野目章夫 不動産登記法入門
不動産登記法に関する唯一の研究者ともいうべき山野目章夫早稲田大学教授が書かれた入門書。不動産登記法は民事法を学んだ方でもとっつきにくい法律と言われています。それは不動産登記法独特の考え方を知らないからだともいわれています。
この書にはそれが分かり易く書かれています。これ1冊では土地家屋調査士試験の不動産登記法には太刀打ちできませんが不動産登記法のガイドラインをつかむには格好の一冊です。山野目章夫著 不動産登記法概論 — 登記先例のプロムナード
上述の入門書より少し踏み込んだ同じ学者の手になる書物です。この書物は不動産登記法について先例を交えて解説する書物です。
「先例」とは,登記事務を管掌する上級行政官署たる法務省の担当行政官が,登記所において実際に登記事務を担当する登記官に対して,全国の法務局又は地方法務局の長を通じて事務処理の指針を示したものです。実際の登記官は先例に基づいて事務処理を行うので、先例を知ることは極めて重要です。土地家屋調査士試験に必要な「表示関する登記」についても登記先例と一緒に学べるので入門書としては良いでしょう。
土地家屋調査士受験100講(I)理論編 改訂5版
不動産登記法と土地家屋調査衣装を学習できる予備校本は、早稲田法科専門学院から出版されている「土地家屋調査士受験100講 1」になります.このテキストは、受験生のバイブルと呼ばれています。
早稲田法科専門学院は、50年以上にわたって土地家屋調査士試験合格に特化した資格予備校です。
土地家屋調査士受験100講は1969年に早稲田法科専門学院の講座に使用するために作られた講座用の教材でしたが、講座受講生の多数が合格したことから1978年より一般公開されるようになった著書です。その後、50年近く早稲田法科専門学院の受講生の基本書としてまた独学用のバイブルとして一時代を築いている著書です。最大の特徴は、条文の趣旨や制度の背景も書かれていて、読みやすく、わかりやすいテキストであるという点です。これまで多くの合格者がこの著書で合格に必要な知識を習得し、スキルを十分に身につけてきました。幅広い知識が詰まったこの参考書の価値は確かなものです。
土地家屋調査士受験100講は3分冊ですがこの第1巻は、不動産登記法と土地家屋調査士法がその内容です。
どちらもなじみが薄く、また学者の手になる基本書も少ないのでこの参考書を用いれば苦手分野の克服にも役立ち、繰り返し読むことで、確実に合格に必要な力が身につくでしょう。早稲田法科専門学院では、この緒席を解説する講座も用意されています。
そんな早稲田法科専門学院の土地家屋調査士講座については定年生活では特集ページを作っていますのでご興味ある方は是非、ご覧ください。区分所有法
えっ?区分所有法と思われる方も多いかと思います。区分所有法は区分建物の択一士試験用の知識や書式試験に必要な知識となります。
そのため、区分所有法の知識もある程度。必要になってきます。とはいえ、マンション管理士のような分厚い本を読むのも得策ではありません。そこで、以下の書籍が良いでしょう。
マンガはじめて建物区分所有法 改訂版
区分所有法をマンガで解説した本です。利用方法としては、マンガの部分だけを一気に読んで、全体像を理解する。2回目に読むときは、文章の部分にしっかり目を通したうえで、内容をおさらいし記憶に定着させるために、当該部分のマンガを読む。
という利用方法がおススメです。筆界特定
択一試験では区分所有法同様に独立科目とは言えないが、もう一つ厄介な分野が存在します。それが筆界特定という分野です。土地家屋調査士試験では、筆界特定制度に関する問題が例年、1~2題、出題されています。
筆界特定制度とは、筆界特定登記官が、一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について不動産登記法123条以下の規定により、筆界の現地における位置を特定することをいいます(不動産登記法123条2号)。この筆界特定制度は、2005年の不動産登記法の改正で設けられた制度です。筆界特定調査官は、筆界特定をする前に土地家屋調査士等を筆界調査委員に任じ、その調査に基づく意見に基づいて筆界を特定します。そのため、土地家屋調査委試験本試験でも筆界特定の知識を問う問題が出題されるようになったのです。
一方で筆界特定に関する記述が非常に少ないのが実情です。山野目章夫著 不動産登記法概論 — 登記先例のプロムナード
不動産登記法のところでも紹介した本です。
筆界特定についても数ページほどの記述が登記先例も踏まえて著述されています。しかし数ページ程度の著述では皆目わからないと言う方には以下がおススメです。土地家屋調査士 実務研究シリーズ 筆界特定の事例研究Vol.1
本書は、筆界特定を観念的に説明するのではなく、事例研究の形式で一つ一つの事例について解説を加えるという形態を採用したことが大きな特色です。
本書の著者である国立大学法人香川大学の辻上佳輝先生は、香川県土地家屋調査士会の学術顧問として、2015年(平成27年)に香川会で筆界特定事例研究会を立ち上げて以来、筆界特定事例の研究を続けられてきたいわば筆界特定の高いともいえる存在です。同書は、東京法経学院のホームページからも購入することが出来ます。
書式編
土地家屋調査士試験においては記述式試験が非常にウェイトが大きい試験です。試験の配点は、択一が50点、記述が50点の配点で、満点は100点の試験です。
出題数の内訳ですが、択一試験は20問に対し、記述士試験は2問です。
従って1問当たりの配点は、択一式試験が2.5点に対し、記述式試験は25点という計算になります。合格点が70点台であることにかんがみると、記述式試験が最大のヤマ場であることが分かります。ところが、記述式試験に関しては作図を求められることもあり、基本的には土地家屋調査士資格試験内の講座にて学習する方法しかありません。
ただし、近年ではアガルートアカデミーの中山祐介講師による著書も発行されており、初学者や毒牙者向けの書籍として人気です。中山祐介の土地家屋調査士試験合格講座 試験に出る書式ひな形50
アガルートアカデミーの中山祐介講師による過去問分析や論点予想に基づき、今後の土地家屋調査士試験合格に必要な書式のうち、登記申請書の書き方についてのパターンが網羅されています。
構成は、申請書ごとに、「事例の提示」→「解答(申請書例)」→「書式作成のポイント解説」→「申請前と申請後の登記記録」という順で掲載されています。
本書の特徴として、主に2点です。
1・申請前・申請後の登記記録を学習することが出来る
2・申請書のひな形が赤シート(目隠しシート)に対応しているため、効率的にひな形の暗記学習ができるのが最大のポイントです。
ただし同書では作図の解説はされていないのでその点は注意が必要です。作図の学習ではなく申請書の学習に特化するという点では非常に有効だと言えます。土地家屋調査士受験100講〔Ⅲ〕書式編 改訂4版
土地家屋調査士試験で長い実績を有する早稲田法科専門学院発行の「土地家屋調査士受験100講」シリーズの第3巻であり、書式対策にになります。見開き1ページに問題が詰め込まれている構成されており、試験で必要と思われる所s機50問を厳選して掲載しています。
受験100講では、申請前・申請後の登記記録は示されていない代わりに実際の図面なども解答例として掲載されていますので、書式対策としては十分と言えます。
ただし、この書籍ではいきなり初学者が書式を書こうとしても前提知識がないとわからない恐れがあります。
そこで前提となる知識がとしておススメが下記の書籍です。土地家屋調査士「測量計算と面積計算」
「測量計算と面積計算」は、土地家屋調査士試験の対策として最適な参考書です。
座標の求め方から面積計算まで網羅的に解説されており、特に実務で必要となる電卓の効率的な使い方についても詳しく記載されています。試験では時間が限られているため、電卓を素早く操作できることが求められます。
さらに理解度を確認するための豊富な問題が収録されているため、効率的に学習を進められます。概念から計算手順、問題解決まで一貫して学べる総合的なテキストとして高い評価を得ています。ただしこの書籍は出版元である「法学書院」が廃業したので、絶版となりました。
アマゾンなどでも中古本として売りに出ていますが、かなり割高です。そうした方にはメルカリなどでのフリーマーケットから購入するのも一手でしょう。電卓対策
土地家屋調査士試験本試験では関数電卓の使用が許可されています。関数電卓は、三角関数、指数関数、対数関数などの計算できる機能が入っており本試験の時間節約に大きな威力を発揮します。
しかし、肝心の使い方が分からないと意味がありません。
土地家屋調査士試験 関数電卓必勝活用術
「土地家屋調査士試験 関数電卓必勝活用術」は、土地家屋調査士試験に向けて電卓の効果的な使い方を学べる実践的な参考書です。著者の斎木光一氏は、日建学院の講師として長年の経験を持ち、受験生が短期間で電卓の操作を習得できるよう工夫されています。
本書では、土地家屋調査士試験で広く使われているカシオ製「fx-JP900」の活用法に焦点を当てています。この電卓の独特な操作方法を確実に身につけることで、試験の問題をスムーズに解答できるようになります。
複素数平面
土地家屋調査士試験が他の法律系試験と異なるのは数学の知識が必要になることです。特に土地に関する記述式試験では複素数の知識が必要といわれています。複素数は高校の数学Ⅲ・Cに関する知識であり、高校時代に習ったkぉ都がない方も多いかと思います。
複素数そのものの知識は高校の数学の教科書で学ぶことが出来ます。ただし、高校卒業からかなり時間が経過している方も多く、いきなり高校の数学の教科書に取り組む方にはハードルが高い方も多いでしょう。その様な方には以下の書籍がおススメです。ふたたびの高校数学
この書籍は、永野数学塾を経営する永野裕之氏が高校1年の数学から高校3年生で学ぶ数学の知識を平易に解説する教科書です。
具体的には幾何学の基礎である図形の性質に始めり、代数学の基礎である二次方程式や複素数の理解などに始まり、大学入学に必要な行列や複素数平面までを項目ごとに解説していきます。
同署を読んで問題なく、高校時代の数学をおさらいできる方にはもってこいの著書と言えます。1対1対応の演習/数学3 曲線・複素数編 (大学への数学 1対1シリーズ)
この書籍は理系の大学に受験する方向けに書かれた受験参考書です。
全部で100頁くらいの薄い本で、これから全体像を理解するために良い参考書です。複素数で解く!関数電卓による測量計算: 土地家屋調査士試験、測量の実務現場で早い!使える!
土地家屋調査士試験で複素数を学ぶ意義は、土地の記述士試験をスムーズに効率的に解くことにあります。そこでおススメなのがアガルートアカデミー講師の中山祐介氏による『関数電卓による測量計算』です。
「関数電卓による測量計算」は、複素数を活用した測量計算の手法を実践的に解説しており、土地家屋調査士試験の合格はもちろん、実務現場でも直ちに役立つ内容複素数を使った測量計算を1冊でマスターするたまにはおススメの一冊です。
ただし、Kindle版ですので、その点はご注意ください。
綿密に学習計画を立てよう
以上が、土地家屋調査士試験に必要な書籍一覧となります。
土地家屋調査士の試験は幅広い知識と実践的な技術が求められ、合格には適切な学習計画が重要となります。はじめに長期的な目標を設定し、そこから具体的な短期目標や日々の学習計画を立てましょう。土地家屋調査士試験んが大変な理由として法律学の学習と、関数電卓を用いた測量の学習という全く異なった内容の学習を同時並行で進める必要がある点です。土地問題では、座標値の計算精度が極めて重要です。ささいな誤りが最終的な結論を左右する可能性があるのです。特に、点の移動、放射計算、交点計算、補正計算の4つの計算手法は必須です。計算ミスは解答全体に影響を及ぼすため、しっかりとマスターする必要があります。
さらに午前試験免除の資格を得ていない方はその準備もしましょう。しっかりとした学習計画を立てて法律学の学習と測量の学習を完結できるように前進してください。
(文責:定年生活事務局)
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