シニアが読み解くエネルギー・環境問題（５）相次ぐ電力各社のメガソーラー事業

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シニアが読み解くエネルギー・環境問題（５）相次ぐ電力各社のメガソーラー事業 2012/1/1

相次ぐ電力各社のメガソーラー事業

住宅用太陽光発電システムはかなり普及してきましたが、ここにきて電力各社の大規模太陽光発電、いわゆるメガソーラー事業が相次いでいます。メガソーラーは文字通り数千ｋWから数万ｋWの大電力を供給するシステムで、今後、太陽光発電のけん引役を担うことになりそうです。

東京電力はこのほど、川崎市で２０１０年４月から建設を進めていた「扇島太陽光発電所」の運転を始めました。最大出力は１万３０００ｋWで、電力供給用のメガソーラーとしては国内最大級です。１年間に発電する電力で一般家庭３８００軒分の年間使用電力量を賄えるといわれます。

扇島太陽光発電所は、東京電力のメガソーラーとしては、川崎市で２０１１年８月に運転を始めた浮島太陽光発電所（出力７０００ｋW）に次いで２カ所目となります。扇島と浮島の二つのメガソーラーをあわせると、２万ｋWの出力規模となります。

一方、関西電力は堺市西区の産業廃棄物埋立処分場でメガソーラー発電所（堺太陽光発電所）を建設。２０１１年度から運転を開始しました。出力は最終的に約１万ｋＷです。
関西電力はまた、シャープと共同で堺コンビナート太陽光発電所を建設し、２０１１年年度から運転を開始しています。
この発電所はコンビナートに進出しているシャープ及び企業の各工場の屋根等に太陽光発電システムを設置し、コンビナート内で自家消費電力として使用するもので、出力は１万８０００ｋＷです。
原発輸出
こうした大規模太陽光発電所は、北海道、東北、中部、北陸、中国、四国、九州、沖縄などの各電力会社でも建設あるいは計画を進めています。

電力会社の集まりである電気事業連合会によると、これまでに計画を公表しているメガソーラー発電は、２０２０年までに電力１０社で合計３０地点、約１４万ｋＷにのぼります。メガソーラーは、電力会社だけでなく、石油会社や情報通信会社が参入していることを見逃せません。石油会社では昭和石油が計画を進めており、情報通信会社ではソフトバンクが積極的な取組をみせています。ソフトバンクは先ごろ、全国の３５道府県が参加する「自然エネルギー協議会」を立ち上げ、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入拡大を進める方針を打ち出しました。その一環として、鳥取県・米子崎津地区中核工業団地のほか、全国の複数カ所で合計２００ＭＷ（２０万ｋＷ）以上の規模の太陽光発電所を計画しています。

太陽光発電は、再生可能エネルギーの柱としてその普及に期待が高まっています。しかし、これまでの太陽光発電の大部分を占めているのは、住宅用の発電システムです。これら住宅用発電システムはほとんどが自家消費用であり、せいぜい１システム３～５ｋWの小規模なものです。
スマートコミュニティ
太陽光発電の導入量を飛躍的に拡大し、再生可能エネルギーを国内エネルギーの柱とするには、メガソーラーの促進が不可欠となっています。各電力会社とも、供給責任を果たすという観点から、メガソーラーに積極的に取り組んでいますが、電力会社以外でも、今後、太陽光発電分野に進出する企業が増えそうです。