クスリの話(2)・・・スイッチOTCについて
2012/3/19スイッチOTCとは
クスリには医者が処方して薬局で渡してくれる医療用医薬品と、誰もが薬局に行って選んで買うことができる一般用医薬品(大衆薬)の2種類があるということは、前回書きました。
どうせ同じクスリなら、病気になったら病院に行って、医者に薬を処方してもらう方が効くだろうと誰でも考えます。ですから、医療用医薬品の市場は約6兆円、大衆薬の市場は約8000億円と格段の違いがあるのです。もちろんそれがすべての理由ではありませんが。ただ、医療用医薬品の場合は確かに効き目は高いのですが、クスリ代も高い。患者側には実感はありませんが、患者負担は3割で7割を国が保険で充当しているからで、国の財政にと取って大きな負担となってきました。
そこで、厚生労働省では90年代頃からスイッチOTCの拡充を図ってきました。
大衆薬というのは、いわば患者側が自由に買えるものだから、副作用や飲む量を間違えたりして、万一のことがあってはならない。医療用医薬品は専門家たる医師がきちんと管理して処方するからそういう不安はないのですが、大衆薬は専門家の目が届かない、そのため、効き目よりも安全性というのが絶対的な主義でした。
医者が処方するような強い効き目のあるクスリを、患者が勝手に使っては、何が起こるかわからない、ということで、医療用医薬品と大衆薬には絶対的な線が引かれていたのです。その垣根を低くして、医療用医薬品に含まれている成分を、大衆薬にも適用しようというのがスイッチOTCです。OTCというのはオーバー・ザ・カウンター、カウンター越しに買うクスリ、という意味です。
スイッチOTCが普及すれば、患者が自分で治せるわけだから、病院にかかる必要はなく、国の負担が少なくなる、と考え、厚生労働省ではスイッチOTCの普及を促進しようとしていましたが、権益を侵される医師側の猛反対などで、なかなか進みませんでした。
それでも、ここに来て、医療費負担の増加に悩む厚生労働省が強い姿勢でスイッチOTC化を勧めています。今後ももっとスイッチOTCが増え、病院に行く手間もなく、便利にクスリを買うことができるようになるでしょう。続々と投入されるスイッチOTC
主なスイッチOTCの成分について掲げておきます。もともとは医療用医薬品の成分であって、効き目は強いけれども副作用もあり、そのために成分の含有量を弱めて作られたものなのですが、それでもアレルギーなどの副作用の可能性はあるため、多くはスイッチ化されても第一類医薬品の大衆薬となります。第一類医薬品というのは、薬局において薬剤師だけが売ることができる、一般の店員では扱うことができないクスリのことです。ただ、スイッチOTCとして発売されたもののなかで、発売から長い期間が経ったものは第2類、第3類に分類されていることが多いようです。その期間に安全性が証明されたから、厳密に薬剤師が管理しなくてもよくなったという判断なのでしょう。
たとえば、胃腸薬のオキセサゼインという成分はサクロンQとして、外用鎮痛薬のフェルビナクフェイタスシップとして親しまれていますが、これらは第2類の医薬品です。第1類は、胃腸薬のH2ブロッカーを配合したガスター10やザンタック錠、
ミノキシジルを配合した発毛、育毛剤のリアップ、
ニザチジン配合の胃腸薬アシノン錠、
ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩配合の胃腸薬アルタット、
アデノシン三リン酸二ナトリウムの滋養強壮薬パニオンコーワ錠、
アゼラスチン塩酸塩のアレルギー用薬ハイガード錠、
キジウム臭化物配合の胃腸薬ストパン、
トリアムシノロンアセトニドを配合した口内炎治療薬のケナログ口腔用軟膏、
風邪薬ではアンブロキソール塩酸塩を配合したエスタクイブファイン、
アシクロビルを配合した抗ウイルス薬軟膏のアクチビア軟膏、
トラネキサム酸を配合した肝斑改善薬トランシーノ、アレルギー薬として、エメダスチンフマル酸塩のアルガード、
フラボキサート塩酸塩配合の女性専用頻尿治療薬のレディガードコーワ、
イソコナゾール硝酸塩を配合した女性用の膣カンジダ薬メンソレータムフレディCCクリーム、
ミコナゾール硝酸塩配合の膣カンジダ薬メディトリートクリーム、
ジクロフェナクナトリウム配合の外用消炎鎮痛薬のボルタレンゲル・テープ、
ビダラビン配合の抗ウイルス薬軟膏のアラセナS、
胃腸薬でトロキシピド配合のイノセアバランス、
抗アレルギー薬でエピナスチン塩酸塩配合のエスタック鼻炎24、
解熱鎮痛薬でロキソプロフェンナトリウム水和物配合のロキソニン、
オキシコナゾール硝酸塩配合の膣カンジダ薬フェミニーナ膣カンジダ錠(2011年3月末段階)などがあります。いずれもこの10年以内に発売されたスイッチOTCで、抜群に効きます。まちがいありません。
<特集 クスリの話>
(1)・・・医療用医薬品と大衆薬との違い / (2)・・・スイッチOTCについて
(3)・・・大衆薬の販売資格とネット販売 / (4)・・・認知症の治療薬
(5)・・・ジェネリック医薬品 / (6)・・・脳梗塞の特効薬tPA
(7)・・・ジェネリック医薬品(Ⅱ) / (8)・・・バファリン飲んだら、ふわふわ
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