クスリの話(3)・・・大衆薬の販売資格とネット販売
2012/4/25大衆薬の販売資格とネット販売
ドラッグストアなどで薬を買おうとすると、「このクスリは担当者がいませんので」と言われて断られることがありませんか。あるいは「午前中はこのクスリを売ることはできません」とか、あると言っているのに売ってくれないことがありませんか。
これはクスリの売り方が2009年6月から大きく変わったからです。一言でいえば、クスリを販売する資格ができ、資格を持つものしか販売できなくなったのです。
医師が処方する医療用医薬品は、病院で処方箋をもらって薬局に行きます。そうすると薬剤師が薬を処方して渡してくれます。これは従来と変わらず、薬剤師がいなければ販売できません。
変わったのは医師の処方が必要ない、消費者が直接買える大衆薬についてで、その大衆薬が3つに分類されました。
1.第1類医薬品(大衆薬としての使用経験が少ないものや副作用、相互作用などの項目で安全性上、特に注意を要するもの)
2.第2類医薬品(副作用、相互作用などの項目で安全性上、注意を要するもの)
3.第3類医薬品(副作用、相互作用などの項目で安全性上、多少注意を要するもの)効果の高いものから第1類、第2類となっていき、また、効果が高いものは副作用や相互作用(飲み合わせなどですね)のリスクがあって、その可能性があるものもやはり第1類から第2類、3類へと分類されています。
ですから、第1類は非常に効果がありますが、きちんと飲まないと思わぬ危険がある、ということ。第3類はさほど効き目はないけれどもいつでも誰でも飲んで大丈夫だというものです。
そして、その分類に従って、販売できる人も変わっています。
第1類の医薬品については薬剤師だけが取り扱うことができます。第2類の医薬品については薬剤師と「登録販売者」という新しくできた資格を持つものが販売できます。第3類は安全なものですから、誰でも販売することができます。その店の店員でも、アルバイト店員でも自由にできます。薬剤師は言うまでもなくクスリの扱いの専門家。登録販売者というのは、用法、容量、効果、副作用、飲み合わせなどのクスリに関する一定以上の知識を持ち、販売実務を経験しているものがなれる資格です。
どうしてこういう資格が導入されたかというと、厚生労働省がクスリというものは対面販売で売るものだという姿勢を明確にしたからです。
高齢化社会に伴ってクスリ代も医療費の大きな負担になっていて、大衆薬の拡大によってこれを抑制しようという政策のもと、今後は前回述べたスイッチOTCをどんどん増やして、医者にかからなくても自分たちで治せるようにしようという狙いです。
そのためには、クスリの販売に、ちゃんと病状やアレルギー体質の有無などを聞いてから適切なクスリを販売する仕組みが必要で、そのために登録販売者という資格を作ったのです。販売資格制度の問題点
その狙い自体は結構ですが、ここで困った問題が起きました。
薬局のない離島など、過疎の地方の高齢者はどうすればいいのか、という問題です。これまではネットなどを通した通信販売でクスリを必要とする人のところに届けていました。しかし、すべてのクスリが対面販売ということになれば、こういう地域に住んでいる人は薬を買うのに交通費をかけて都会まで出ていかねばならないということになります。厚生労働省では第3類に限ってはネットでの販売を認めていますが、先にも書いたようにクスリとはいえ第3類は効果はたいして見込めない、ドリンク剤などが中心です。利用者側はせめて第2類までネット販売を認めるように、と要望していて、対面販売の原則をはずしたくない厚生労働省との対立が続いています。
現状では2015年まで2類までのネット販売は「経過措置」という形で、条件付きで認められています。その期限までにどうするか検討を続けているわけで、推進派反対派の攻防が続いています。
(4月26日。東京高裁はクスリのネット販売を一部認める判決を下しました)<特集 クスリの話>
(1)・・・医療用医薬品と大衆薬との違い / (2)・・・スイッチOTCについて
(3)・・・大衆薬の販売資格とネット販売 / (4)・・・認知症の治療薬
(5)・・・ジェネリック医薬品 / (6)・・・脳梗塞の特効薬tPA
(7)・・・ジェネリック医薬品(Ⅱ) / (8)・・・バファリン飲んだら、ふわふわ
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